• ノハカタカラクサ
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家の前に咲いていたノハカタカラクサの花。別名トキワツユクサ。
ツユクサによく似た外来植物です。

保育社「原色日本帰化植物図鑑」(1976年)によると,
『ノハカタカラクサ Tradescantia flumiensis VELL.
・・・・・・・
南米原産。別名トキワツユクサ。本種の栽培品は歯に白色のたてじまがあって,シロフハカタカラクサとよばれ,昭和初年に渡来,観葉植物として温室内に広く栽培される。村田は,”この原種が数年前より和歌山県下に帰化している。……小川由一氏によると近年……各地に群生”と記す。現在,本州中部以西の暖地の林下などにまれでない。シロフハカタカラクサを放置すると班を失って,ノハカタカラクサに変わってしまうことが多い・』

本種の英名は「wandering jew(さ迷えるユダヤ人)」といいます。
何故そのように呼ばれるのか,googleで「Tradescantia flumiensis 」と英語のサイトを検索すると,非常にたくさんのサイトが表示されました。

wikipediaによると,気候的に実を結ばないようなところでも,節からどんどんと繁殖し,本来の植生を駆逐してしまうことから「さ迷えるユダヤ人」の名がつけらたようです。
ニュージーランド,オーストラリア東部,カルフォルニアで本種は侵略的外来植物として大問題になっているようです。

ちなみに「さ迷えるユダヤ人」とは,ヨーロッパに伝説として伝えられる,永遠に呪われた放浪者のことです。
平凡社「世界大百科事典」によると
『中世末期に広まった伝説によれば,十字架を担って刑場におもむくキリストがアハスエルス(アハシュエロス)Ahasuerusなる靴屋の家の前で休息をもとめたとき,彼はこれを拒絶した。そのときキリストは〈汝,我の来たるを待て〉と答えて立ち去り,それ以後アハスエルスは故郷と安息とを失い,〈最後の審判〉の日まで地上をさまよう運命を負わされたという。
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オイディプスのように古代より放浪を宿命づけられた王の伝説があり,ユダヤ人の歴史的体験(ディアスポラ)そのものが素材を提供していると考えられるが,より端的にはヨーロッパに根強い反ユダヤ人意識の伝説化といえよう。』

日本のネット上では,fluminensis(フルミネンシス)とalbiflora(アルビフロラ)との区別について情報が錯綜していますが,英語のページではTradescantia fluminensis と Tradescantia albiflora は同じもの(synonyms)としているものが多いようです。