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ムナブトヒメスカシバ

2007年7月22日
  • ムナブトヒメスカシバ
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ハチのように見えますが,スカシバという蛾のなかまです。
「スカシバ」は「透翅」で,翅が透明であることに由来します。

保育社「原色日本蛾類図鑑(上)」によると,
『外見上ハチに似ているばかりでなく,昼間活動性なので,ハチに間違えやすい。多くの種は,花に蜜を求めているとき,または幼虫の寄生植物付近で得られる。ほとんど全世界に分布し,日本では現在29種知られている。幼虫は樹木の幹中で生活し,成虫になるには2年かかるのを普通とする。』

上記の図鑑で名前を調べたのですが載っていませんでした。
ネットでさがしたところ「ムナブトヒメスカシバ」だとわかりました。

どういうわけか左右の前肢をばんざいをするように上げています。
ネット上の写真を見ても,みな同じように肢をあげているところを見ると,そうした習性があるようです。
ちょうどアリグモがアリの触角に似せるために,いつも前脚を上げているのに似ています。
でも,もともと触角をもたないアリグモが肢を持ち上げて触角に見せているのはわかりますが,触角をもつスカシバがさらに触角に似せることはしないような気がします。(毛まで生えていますし・・・)
どういう理由があるのでしょうか?

自分以外の何者かに外見や臭い,動きなどを似せて,生存上の利益を得る現象を擬態といいます。
平凡社「世界大百科事典」によると
『その機能によって隠蔽的擬態,標識的擬態,種内擬態などに区別される。
隠蔽的擬態 mimesis] 保護色ともいい,外見を周囲の色や模様に似せて外敵から隠れるものをさす。
——
標識的擬態 mimicry] わざと目だつことによって利益を得るもので,これはさらにベーツ型擬態,ミューラー型擬態,攻撃擬態の三つに分けられる。
——
種内擬態 intraspecific mimicry] 隠蔽的擬態も標識的擬態も,自分とは別の種に対して効果をもつものであるが,自分と同じ種に対して効果を及ぼすものものをとくに種内擬態と呼んで区別する。
——-』

スカシバがハチに似ているのはベーツ型擬態です。
ベーツ型擬態について,平凡社「世界大百科事典」には次のように書いてありました。
『ベーツ型擬態は,本来まずくない動物がまずい味や毒をもつ別の動物(モデル)に外見だけを似せることによって外敵からの免れるもので,まねをしている動物は擬態者mimicと呼ばれる。ベーツ型擬態はとくに昆虫で多く見られ,カバマダラ(毒をもつ)に擬態するメスアカムラサキの雌,ジャコウアゲハ(毒をもつ)に擬態するオナガアゲハやアゲハモドキ,まずい汁を出すテントウムシに擬態して昼間動きまわる東南アジアのゴキブリのなかま,毒針をもつハチ類によく似たスカシバガやトラカミキリの仲間などがこれにあたる。ベーツ型擬態は19世紀イギリスの動物学者ベーツH.W.Bates(1821-92)が,南アメリカ産のドクチョウとこれによく似たシロチョウの標本をもとにして提唱した概念であるのでこう呼ばれる。昆虫の最大の敵である鳥類が,擬態している昆虫をまずい餌とまちがえて食べないことは,ベーツ以来単に空想の形で述べられてきたが,それが真実であることは1950年代に入って実験的に証明された。』

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