• ヒトエグモ
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動物園の塀にくっついていたクモ。
名前を調べると,珍しいクモでした。
ヒトエグモといいます。
すべてのクモの中で最も扁平なクモだそうで,上方から写した[写真2]を見ると,押しつぶされたような形をしているのがよくわかります。
「ヒトエ」とは多分「一重」でしょうね。

新海栄一著「ネイチャーガイド 日本のクモ」には,ヒトエグモについて次のように書いてありました。
『分布:本州(静岡県,京都府,奈良県,大阪府)
すべてのクモの中で最も扁平な体のクモ。農家,旧家,古い寺院などから採取される。昼間は壁のすき間,柱の割れ目,床のすき間等に潜んでいるが,夜間隠れ場所から出て壁や畳を歩き回って小型の昆虫やクモ等を捕らえる。分布は2府2県に限られているが,他県でも生息している可能性があり,今後各地で注意が必要である。』

ヒトエグモは京都府デッドデータブックでは絶滅危惧種に指定されています。
京都府デッドデータブックには次のように記されています。

『選定理由: 採集例が少なく、京都市が主要な分布地の一つであるため。

形態: 体長7~8mm。身体は扁平で,背面から押しつぶしたように見える。

分布: 日本と韓国に分布する。日本では京都府(京都市),大阪府(大阪市、堺市、河内長野市、松原市、豊能町),奈良県で採取または確認されている。採取例は少ない。沖縄県でも採取記録があるが,採取者・採取地とも不明で,おそらくは誤報と思われる。京都市では,東山区,左京区,北区で採取されている。

生態的特性: 徘徊性。寺院や旧家の屋内で採集されることが多いが,新しい家では見られない。庭や人家付近の墓地などにも見られる。韓国では,積み重ねられた瓦の間などに生息しているという。生活史は不明である。

特記事項: 日本蜘蛛学会は本種を環境省の絶滅危惧種IAとしてRDBに登載するように提案したが,屋内性の動物はその対象にならないとして,登載されなかった。しかし,屋内にだけ生息するわけではなく,採集例が極めて稀であることことから,京都府の絶滅危惧種とした。』

主に屋内に生息するようですが,今回の発見場所は屋外でした。
動物園北側の塀にくっついていました。
所在地は京都市左京区になります。