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キシノウエトタテグモ

2007年10月2日
  • キシノウエトタテグモ
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動物園の塀にくっついていたクモ。
最初ヤチグモのなかまかなと思って調べていたのですが,触肢が異常に大きいことに気づきました。
脚が10本あるように見えます。[写真3]
触肢が歩脚と見かけ上区別できず十本足に見えるのは,原始的なクモ類に共通する特徴らしいです。

この特徴をもとに図鑑をもう一度調べなおしてみると,このクモはキシノウエトタテグモの雄だとわかりました。
トタテグモは「戸立て蜘蛛」で,地面に穴を掘り,入り口に扉をつけた巣をつくることから名づけられています。(キシノウエはどういう意味でしょうか。)

新海栄一著「ネイチャーガイド 日本のクモ」には,キシノウエトタテグモについて次のように書いてありました。
『東京,神奈川,名古屋,京都,大阪などの都心部に多産。他の県ではあまり見られない。神社,寺院,学校,公園,人家の庭などに生息し,土台石のわき,土の詰まった石垣や崖,植え込みの縁などの地面に穴を掘り,入口に片開きの扉を付けた住居を作る。クモは扉のすぐ内側にいて,扉の前を通る昆虫,ワラジムシなどを捕らえる。6~7月にかけてクモに寄生したクモタケが住居の入口から生えていることがある。』

「都心部に多産」と書いてありますが,環境省の準絶滅危惧種に指定され,京都府でも準絶滅危惧種に指定されています。
京都府レッドデータブックには次のように書いてありました。

『<選定理由>
環境省の準絶滅危惧種に指定されており,京都府でも個体数が減少していると思われるため。
<形態>
体長メス10~15mm,オス8~10mm。頭胸部は茶褐色,腹部は褐色である。
<分布>
本種はLatouchia typicaという日本固有のトタテグモであったが,最近Latouchia swinhoei(オキナワトタテグモ)の亜種とされた。分布地は本州(東北地方南部以南),四国,九州。京都府では,京都市,長岡京市,宇治市,八幡市,乙訓郡,久世郡。京都府の南部地域で生息が確認されている。
<生態的特性>
人家近くの崖地や,神社・仏閣の石垣の間,旧家の庭先などに,横穴を掘って棲む。横穴の入口には,糸で裏打ちされた開閉式の蓋がある。近くを通る昆虫やワラジムシを捕獲し,住居に引き込んで摂食する。東京,横浜,京都など大都市の中心部に多く,郊外に行くに従って減少する。愛知県では名古屋市,犬山市,岡崎市の標高60m以下の地域に分布する。
<生息地の現状>
神社・仏閣や旧家が多い京都には比較的多数生息している。しかし,近年はコンクリートで固められた石垣が多く,そのような場所に本種は生息できない。また,再開発によって京都市の伝統的な町並みが破壊され旧家がどんどん減少していること,除草剤などを散布する寺社が多いことなどから,本種の個体数は激減していると思われる。
<その他>
日本固有亜種 』

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