• ゴキヅル
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ゴキヅルの実がなっていました。
ゴキヅルは「合器蔓」で,名前は実の形に由来します。

[写真1]の実に上下の裂け目ができていることからわかるように,実が熟すると下側の果皮が種子と一緒に脱落します。
実の中には黒色の種子が2個入っています。[写真2][写真3]

花には雄花と雌花があり,同じ株に両方の花が咲きます。
雄花[写真4]は総状花序(そうじょうかじょ)で,花軸に柄をもつ花がいくつもついて,順次咲いてゆきます。花弁は5つに裂けて細長くとがり,がくも同じ形をしているので,花びらが10枚あるようにみえます。

雌花は雄花序の基部に一つだけつきます。
雌花も雄花と同じような形をしているのですが,今の時期,花をつけているものは見当たらなくてみな子房がふくらみ始めています。[写真5]

葉は三角状皮針形。[写真6]
もともと対生ですが,片方の葉が巻きひげに変形しているため,互生となっています。

「牧野新日本植物図鑑」(昭和45年)には,ゴキヅルについて次のように書いてありました。(表記はゴキズルとなっていました)

『本州,四国,九州をふくむ東亜の暖,熱帯(琉球に欠ける)の水辺にはえる一年生のつる草で,茎は長さ2mばかり,巻きひげがあって他物にからまる。葉は柄があり,互生(もともと対生だが片方の葉が巻きひげに変形),葉身は三角状皮針形で先端とがり,下部は3~5の出っ張りがあり,長さ5~10cm,幅2.5~7cm,ときに3~5の浅中裂するものもある(これをモミジバゴキズルという)。晩夏から秋にかけて葉腋から多数の黄緑小花を出す。雄花冠はほとんど5全裂し,裂片は細長でとがる。同形のがくもほとんど5全裂。雄花序は総状,雌花は雄花序の基部に単生し,1cmぐらいの糸状の柄があり,花後,楕円体の緑色の果実を下垂し,熟すると下半の果皮が脱落して,同時に大形の黒色種子が2個落下する。[日本名]合器蔓の意味で果実の蓋がとれる形式を合器すなわちかぶせ蓋の容器にたとえた。』