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フジバカマ

2007年11月7日
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(2013/10/9 追記:この花は園芸種のサワフジバカマではないかとのご指摘を受けています。茎が赤いことなどから,サワフジバカマの可能性が大です。)

フジバカマの花が咲いていました。
フジバカマは秋の七草にも入っているキク科の多年草ですが,近年は生息地が減少し,京都府レッドデータブックでは絶滅寸前種となっています。
この花も栽培されたものです。

京都府レッドデータブックには,フジバカマについて次のように書いてありました。

選定理由 生育地が限られ、個体数も極めて少ない。
形態 川の堤防などに群がってはえる多年草で、茎は高さ1~1.5m。葉は普通3深裂して、裂片は披針形の長さ8~13cm。花は8~9月茎の上部で分枝して、枝の先に淡紅紫色の頭花を散房状に多数つける。全体に乾くと佳香がある。
◎参照 原色日本植物図鑑草本I:No.222,日本の野生植物III:211頁,
分布 本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮半島、中国大陸。
◎府内の分布区域
中部地域、南部地域。
生存に関する脅威 河川敷の開発、園芸採取。
必要な保全対策 河川敷の開発には地域の詳細な生物調査を実施することが必要である。マニアの自粛に待つことも必要。
特記事項 古く中国より渡来したという説がある。学名はEupatorium fortunei Turcz. がよく用いられているが、E. japonocum Thunb. ex Murrayとすべきである(村田・小山,1982)。』

上記に「古く中国より渡来したという説がある」とあり,また多くの図鑑にも奈良時代以前に中国から帰化したと思われるとの記述がありますが,「朝日百科 植物の世界」(1997年)には次のように書いてありました。
『万葉の時代から栽培されているために中国原産という憶測もあったが,最近の調査研究によって,もともとわが国の河川原野に野生していた植物であることが確実視されている。』

フジバカマの名は,花の色が藤の花に似,花弁が筒状で袴のように見えることからきています。
その他に,フヂバナカフクミグサ(藤花薫含草)やクンハカマ(薫袴)からきているという説があるようです。

小学館「日本国語大辞典」には,語源について次のように書いてありました。
『(1)花の色が藤の花に似て,花弁がつつをなして,袴のようであるところから[東雅・箋注和名抄・名言通・和訓栞・大言海]。花の色が藤の花に似ているところから[名言記・重訂本草網目啓蒙]
(2)フヂバナカフクミグサ(藤花薫含草)の義[日本語源学=林甕臣]。
(3)クンハカマ(薫袴)の義[言元梯]。』

葉や茎を乾かすと,クマリンという成分が芳香を放ちます。
この香りを表すのに,桜餅のような匂いと表現されます。
平安貴族も愛した香りを桜餅にしか例えられないのは情けないですが,実際に嗅いでみるとそれ以外の表現をするのが難しい匂いです。
ちなみに桜餅の匂いもクマリンによるものだそうです。

源氏物語第30帖の巻名は「藤袴」。
源氏の使で玉鬘(たまかずら)を訪れた夕霧が,玉鬘恋しさのあまり藤袴の花を簾の下から差し入れ歌を送ります。
「同じ野の 露にやつるる 藤袴 あはれはかけよ かごとばかりも」
これに対して玉鬘は次の歌を返します。
「尋ぬるに はるけき野辺の 露ならば 薄むらさきや かごとならまし」

夕霧は玉鬘を訪ねる直前に藤袴の花を摘んでいるので,香りはしていなかったはずです。
香りではなく,藤袴の色を藤色の衣(喪服)にかけて口説いたようです。

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