• ツマグロヒョウモン
  • ツマグロヒョウモン
  • ツマグロヒョウモン
  • ツマグロヒョウモン
  • ツマグロヒョウモン

11月10日夜,知らない間にチョウの蛹が羽化していました。
3日ほど前から,体を左右に振る動作を続けていたので,大丈夫なのかなと心配していたところでした。
以前同じように活発に体を動かし続けていた蛹が,結局羽化できず死んでしまったことがあるからです。

羽化はできたものの,気づいた時には,床に落ちている状態でした。
翅はある程度開いていたので,羽化してすぐに落下したわけではないようです。
何かものを近づけるとしがみつくことはできるのですが[写真1],すぐにまた落ちてしまいます。

翌朝見ると,微かに翅を動かすだけで弱り切っています。[写真3][写真4]
このところ家で羽化させたチョウの羽化失敗が続いています。垂蛹型の蛹は帯蛹型のものより,羽化に失敗する確率が高いような気がするのですが。

この蛹は11月3日に家族で希望が丘公園(滋賀県)に行った時に子供が見つけたものです。
子供が歩いていて何かを蹴とばしたことに気づき,よく見ると変なものが転がっていたそうです。[写真2]
たぶん下草についていた蛹を,靴先で蹴飛ばしてしまったのだと思います。

あたりにスミレがあることや,独特の光沢のある棘をもっていることから,ヒョウモンチョウの仲間のようです。
[写真2]は茶色い感じに写っていますが,実際の見た目は真っ黒で何の蛹かはわかりませんでした。

羽化して出てきたのはツマグロヒョウモンの雄でした。
[写真3]は表。[写真4]は裏です。

ツマグロヒョウモンは雄と雌で翅の模様が違います。
雌は名前のとおり褄黒で翅の端っこが黒くなっています。[写真5]
学習研究社「日本産蝶類標準図鑑」には次のように書いてありました。

『色彩斑紋は♂♀で著しく違い,♀の前翅端は紫黒色,翅端に近く前翅を斜向する白帯があり,♂にはこれがない。ツマグロヒョウモンの和名は♀のこの特徴にもとづく。♂の前翅表の黒色発香鱗条はとくに細く一見肉眼では認めがたい標本が多い。♀にはこれがない。季節による色彩斑紋の違いは認められない。♂♀ともに色彩斑紋に特徴があり,とくに裏面の斑紋は特異であって,本種とまぎらわしい近似種はない。』

かなり寒くなってきていますが,幼虫で冬を越すそうなので,これから交尾して卵を産むのでしょう。
学習研究社「日本産蝶類標準図鑑」には次のように書いてありました。
『越冬態は幼虫。南大阪では,中齢幼虫で越冬するが,日陰より日向での生存率が高い。幼虫は短時間なら-40℃程度の低温には耐えるが,5℃では摂食行動をとらない。死亡要因として,低温の継続による絶食が重要である。』