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ムラサキサギゴケとトキワソウの違い

2009年5月10日
  • ムラサキサギゴケとトキワソウ
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トキワソウとムラサキサギゴケは花ばかりでなく,全体の感じもよく似ています。
同じゴマノハグサ科サギゴケ属なので,似ていて当たり前なのですが。

ムラサキサギゴケはほふく枝を伸ばして増えるので,花茎も地面を這っているイメージがあります。
一方,トキワハゼはムラサキサギゴケとの対比で花茎を直立させているイメージがあります。
しかし,ムラサキサギゴケの花茎は直立していますし,トキワハゼの花茎も直立しているものばかりでなく,地面を這うように花茎が倒れているものもあります。

『牧野新日本植物図鑑』(1970年)には,ムラサキサギゴケについて次のように書いてありました。

北海道南部から九州まで分布し,田のあぜ道に多い多年草である。茎は短かく,葉を根ぎわに群生し,その間から長さ5~10cmの花茎が直立する。花の終る頃より,基部から細長いほふくする枝をだして地上にひろがり繁殖する。根ぎわの葉は大きく倒皮針形で先はにぶく,へりにあらいきょ歯をもつ。ほふく枝の葉は対生し小さい。春から夏にかけて花茎をのばし,まばらに数個の花を開く。がくは5裂し,裂片は皮針形でとがる。花冠は紅紫色で長さ1.5~2cm,上部深くさけて唇形となり,上唇はとがって先が2裂し,下唇は大きく先は3裂し,中央は大きくもりあがって白色となり,紅紫色または褐色の斑点がある。2本づつ長さの異なる4本の雄しべをもつ。柱頭はへら形で上下に2裂して開き, さわると自動的にとじる。〔日本名〕鷺苔の意味で,本来白花品をさしたものなので,紫花の普通品はムラサキサギゴケとよぶべきである。白花品はサギシバともいう。漢名として通泉草を使うが誤りである。

トキワハゼについては,次のように書いてありました。

東アジアの熱帯から温帯に広く分布し,庭や道ばたに普通にみられる一年草である。全形サギゴケに似ているが,ほふくする枝をださない点で異る。全体やや小形で,根ぎわの葉の間から数本の茎を直立し,高さ6~18cmとなる。春から秋の終りまで花がみられる。茎の先にまばらに総状花序を作り,淡紅紫色の小さな花を開く。がくは5裂し,裂片は皮針形でとがる。 花冠は長さ1~1.2cm,下部は筒となり深く2裂して唇形,上唇は鈍頭で浅く2裂し,下唇は大きく先は3裂し,中央は2列にもりあがって黄色である。2本づつ長さの異る4本の雄しべをもつ。果実は小さく球形のさく果で,がくに包まれている。春から秋までいつも花を開いているので常磐ハゼの名がある。

[写真1]は,ムラサキサギゴケの花とトキワソウの花を並べて撮ったものです。

一見してわかるのは,トキワソウの花の方がずいぶん小さく,白っぽいということです。
・ムラサキサギゴケ……「花冠は紅紫色で長さ1.5~2cm」
・トキワソウ……「淡紅紫色の小さな花を開く」「花冠は長さ1~1.2cm」

下唇の色,模様,上唇の形も違います。
・ムラサキサギゴケ……「上部深くさけて唇形となり,上唇はとがって先が2裂し,下唇は大きく先は3裂し,中央は大きくもりあがって白色となり,紅紫色または褐色の斑点がある。」
・トキワソウ……「花冠は長さ1~1.2cm,下部は筒となり深く2裂して唇形,上唇は鈍頭で浅く2裂し,下唇は大きく先は3裂し,中央は2列にもりあがって黄色である。」

一番わかりやすい違いは,ムラサキサギゴケは「ほふく枝」を出し,トキワソウは出さないことです。
[写真5]は,ムラサキサギゴケのほふく枝の様子です。
花茎の根ぎわの葉は大きく細長い形(倒皮針形)をしていますが,ほふく枝の葉は小さく倒卵形をしています。
・ムラサキサギゴケ……「根ぎわの葉は大きく倒皮針形で先はにぶく,へりにあらいきょ歯をもつ。ほふく枝の葉は対生し小さい。」
・トキワソウ……「全形サギゴケに似ているが,ほふくする枝をださない点で異る」

生育環境も違います。
ムラサキサギゴケは田のあぜ道など湿った場所に生え,トキワソウは道路脇など乾いた場所にも生えます。
都会ではムラサキサギゴケよりトキワソウの方が多く生えているのではないかと思います。
実は私も,トキワソウと比較するためにムラサキサギゴケを探していたのですが,なかなか見つけることができませんでした。
灯台下暗し。自宅庭の片隅に生えていました。
「日当たりのよい湿った場所に生える」と解説しているものもありますが,生えていた場所は日の当たらない湿った場所でした。
・ムラサキサギゴケ……「北海道南部から九州まで分布し,田のあぜ道に多い多年草である。」
・トキワソウ……「東アジアの熱帯から温帯に広く分布し,庭や道ばたに普通にみられる一年草である。」

ムラサキサギゴケの開花時期は4月~5月,トキワソウは春から初冬までずっと咲いています。
今の時期はどちらも花を咲かせているので迷いますが,夏になってからもう一度花をつけているかどうかを確認すればはっきりします。

[写真6]は,ムラサキサギゴケの白花種サギゴケです。
坪庭の下草として植えられていたものです。

  • [写真1]上:ムラサキサギゴケ
    下:トキワソウ  »»拡大
  • [写真2]上:ムラサキサギゴケ
    下:トキワソウ  »»拡大
  • [写真3]上:ムラサキサギゴケ
    下:トキワソウ  »»拡大
  • [写真4]左:ムラサキサギゴケ
    右:トキワソウ  »»拡大
  • [写真5]ムラサキサギゴケのほふく枝
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  • [写真6]サギゴケ
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