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ジョウカイボン

2009年6月5日
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草の葉にカミキリムシによく似た虫がとまっていました。

カミキリムシの仲間を随分調べたのですが,名前が分りません。
ひょっとしたらカミキリムシではないのかも知れないと思い,図鑑をめくっているとありました。

ジョウカイボン科ジョウカイボン。
聞きなれない名前です。

平凡社『世界大百科事典』(2007年)には,次のように書いてありました。

甲虫目ジョウカイボン科の昆虫.体は黒色で,前胸の両側や上翅は黄褐色.日本全国のほか,朝鮮半島にも分布する.上翅の縫合部は樅に黒色であるが,生息地によって上翅の黒色化に変化が見られる.体長15mm内外.成虫は,5~6月ころ葉上や花上に見られ,昆虫類を捕食するほか,みつもなめる.この間に雌は土中に数百の卵をかためて産みつける.卵は球形で小さい.約10日後に幼虫が出現し,落葉の中や草の根もとを歩き回って昆虫などの小動物を捕食する.幼虫の体は茶褐色でビロード状に短毛で国われる.幼虫で越冬し,翌年の4月ころコケや石の下などで蛹化する.ジョウカイボン科Cantharidaeは世界から約1500種,日本にはアオジョウカイ,キンイロジョウカイ,クビボゾジョウカイ,セボシジョウカイなど約300種を産する.いずれも肉食性で,英名はsoldier beetle。花粉やみつも食する.俗に軟鞘類と呼ばれ,甲虫目の中では体が比較的軟らかい.分類上からはホタル科に近い.

解説には,ジョウカイボンの名前の由来について触れられていません。
こんな変な名前の由来について触れられていないということは,定説がないということではないでしょうか。

「ジョウカイボン」は音を聞いただけでは,どう漢字表記するのか検討もつきませんが,古い昆虫図鑑には「浄海坊」と出ていました。

ネットで調べると,平清盛が出家後に名乗っていた「浄海坊」に由来するという説があちこちで紹介されています。
ジョウカイボンによく似たカミキリモドキは毒をもっていて,体液が皮膚につくと炎症を起こしますが,このことと平清盛が高熱で死んだこととを関連付けたものというものです。
(ネットで調べた人がみんな引用するので,この説がどんどん増殖しているように感じます。)

漢名に由来するのかと,ジョウカイボン科を中国語で何と言うのか調べてみると「菊虎科」となっていました。
「虎」の名が付いているのは,他の虫を捕食するなど獰猛な面があるからでしょうか。
英名でもsoldier beetleと言います。
どちらも獰猛さが名前の由来になっているので,ひょっとしたら「浄海坊」もその辺りと関係があるのかもしれませんね。

『新装版山渓フィールドブックス6 甲虫』(2006年)には,ジョウカイボウ科について,次のように書いてありました。

甲虫としては例外的に軟らかい体をしているが,性質はどう猛で,他の虫を捕食する。ベニボタル類とともにホタル類に近い仲間なので,体に毒があるらしく,鳥に嫌われるが,まだそれを調べた人はいない。鳥に嫌われるため,ヒメハナカミキリをはじめとするハナカミキリ類,クビナガムシなどの花に来る甲虫とジョウカイボン類との間に複雑な擬態現象が現れる。また同じジョウカイボン類の間でも似通った色や模様をしている傾向がある。これはミューラーの擬態といって,同じような模様をしていると,鳥は1匹ついばんだだけで他の虫を攻撃するのを止め,それだけ被害が少なくなるためである。

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