• オオセンチコガネ
  • オオセンチコガネ
  • オオセンチコガネ
  • オオセンチコガネ
  • オオセンチコガネ

地面にオオセンチコガネがひっくり返って,肢をばたつかせていました。

オオセンチコガネには金属光沢があり,地方によって色彩に変化があります。
典型的なオオセンチコガネは金赤色あるいは銅赤色だそうです。

滋賀県南部,京都府山科盆地南東部,鈴鹿山地には金緑色の個体が見られ,ミドリセンチコガネと呼ばれています。
この個体も,少し緑色がかっていますね。

「オオ」センチコガネの名がついていますが,センチコガネと比較してそんなに大きいわけではありません。
体長はセンチコガネが14~20mm,オオセンチコガネが16~22mmなので,個体差を考えるとそれほど違いはありません。

オオセンチコガネの方が金属光沢が強く,頭楯(とうじゅん)の形が角ばっているのが見分けるときのポイントのようです。[写真5]

『学研生物図鑑 昆虫Ⅱ』(1990年)には,オオセンチコガネについて次のように書いてありました。

金赤・金緑・金紫・青緑色などの金属光沢がある(地方により色彩に変化がある)。頭楯(とうじゅん)は前方へ発達しており,台形。雄の前脛節(ぜんけいせつ)には鋸歯(きょし)状に歯があるが,3~4本は下側を向く。成虫は4月ごろから獣糞(ふん)や動物の死がいに集まる。成虫は糞を地中へ運びこみ産卵する。幼虫は糞を食べて育ち,幼虫で越冬,翌年成虫となる。体長:16~22mm。分布:千島・北海道・本州・四国・九州・屋久島・済州島・朝鮮半島・シベリア東部など。

センチコガネの「センチ」は「せっちん」で,便所の意味です。

小学館『日本国語大辞典』(1980年)には,「せんち」は『「せっちん(雪隠)』の変化した語。」とあります。
また「雪隠(せっちん」は,「便所のこと」。

同書には,「せっちん」に関する諺が載っていて,どれも面白いのでいくつか書き出してみます。

・せっちんで饅頭
こっそりとうまいことをすること
・せっちんの火事
「やけくそ」のしゃれ
・せっちんの錠前(じょうまえ)
咳ばらいのこと。便所にはいった人は咳ばらいではいっていることをあとから来た人に知らせた。便所の中の咳ばらいは錠をかけたのと同じ効果があるというところからという。
・せっちんへ落ちた猫
《きたなくて手がつけられなところから》つかまえどころがない。