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カマドウマ

2009年11月17日
  • カマドウマのなかま
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動物園の塀にカマドウマ(のなかま)がとまっていました。
写真だけ撮って後で調べれば名前がわかるだろうと思っていましたが,そんなに甘くありませんでした。

小学館の図鑑NEO「昆虫」に載っているカマドウマの仲間は,カマドウマとマダラカマドウマの2種類だけです。
図鑑の写真を見る限り,本種はマダラカマドウマに思えました。

保育社『原色日本昆虫図鑑(下)』(1977年)を見るともう少し詳しく載っていました。
カマドウマ科は3属に分けてあり,次の7種が載っています
・クラズミウマ属 クラズミウマ,コノシタウマ
・カマドウマ属 カマドウマ,マダラカマドウマ,ホラズミウマ
・クチキウマ属 クチキウマ,エサキクチキウマ
この他に,クラズミウマ属とカマドウマ属にそれぞれ数種類がいるとされています。
全部で10数種といったところでしょうか。

同書を見ると,クラズミウマにも該当しそうな感じがしてきました。

同書にはマダラカマドウマについて,次のように書いてありました。

 体長20~27mm。黄白色の地に鮮明な黒褐色斑をよそおう。野外の洞穴,オーバーハングした岩かげ,朽木等に群生し,人家の中や床下にも侵入してすみつく。動物質・植物質ともに食べる。卵・幼虫・成虫ともに越冬する。分布:日本全土;台湾・北アメリカ・ヨーロッパにも移住定着しているというが,学名はクラズミウマと混乱している場合がある。

クラズミウマについては,次のように書いてありました。

 体長15~22mm。淡褐色に暗色斑がある。マダラカマドウマに似るが小形で,斑紋は不明瞭。人家の内外にすみ,いろいろなステージで越冬する。分布:本州(関東以西)・四国・九州から知られるが,おそらく広く生息するものであろう。全北区にひろく分布する。ヨーロッパや北アメリカへは侵入したものとされる。

マダラカマドウマだけでなくクラズミウマにも体に斑紋があります。
違いは,マダラカマドウマが「鮮明な黒褐色斑」であるのに対し,クラズミウマは「斑紋は不明瞭」。
といわれても,本種の斑紋が「不明瞭」といえるのか「鮮明」といえるのか,よくわかりません。

他の見分け方としては,後脚の脛節背面にある棘で区別する方法も載っています。
下図の左側のように,刺が短~長,短~長と波型の繰り返しになるのがクラズミウマ属で,右側のパターンのものがカマドウマ属です。
カマドウマの棘模式図
写真を最大限拡大して棘を確認してみると,不鮮明ながら左側のパターンに近いようです。
どうやら本種は,マダラカマドウマではなくクラズミウマのようです。

さらに,日本直翅類学会編『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』(2006年)を調べてみました。
同書には日本のカマドウマ科は3亜科7属74種8亜種が分布するとされ,詳細な検索表が載っています。
この検索表を見ると,写真を見ただけで同定することなどとてもできることでないとわかります。

同書には大型カマドウマの同定について次のように書いてありました。

 カマドウマは初心者の頭を悩ます昆虫である。通常は♂の交尾器が発達しているので,成虫では♂の見分けは比較的容易である。しかしある種の幼虫が他種の成虫に酷似する場合が多いので,念のため交尾器が骨化している成虫であることを確認する方がよい。また,ふ節の下面に剛毛があれば,幼虫である(ただし,クラズミウマのみ成虫にも剛毛がある)。前胸背板が光沢をもつ場合は成虫だと思っていい。
 まずは身近な大型カマドウマを採集して,交尾器や各部の棘をじっくり調べることからはじめるのがいい。絵合わせは危険なので注意すること。

軟弱カマドウマの同定についてはもっとシビアです。

ここでいう軟弱カマドウマとは,擬腹板が通常小さくて見にくい中~小型のカマドウマである。これらは種レベルのみならず属レベルでも分類が難しく,検索表はあくまでも参考例にすぎない。

これらの棘や剛毛の状態を表にして比較し,記載文と照らし合わせれば,理解は早いはずである。逆にいうと, こうした手順を踏まないで印象だけで同定しようとすると100%間違える。

クラズミウマかなと思うのですが,実物を観察しないでクラズミウマと同定するのは無理なようです。

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