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カクレミノ

2009年12月22日
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カエデやサクラ,コナラの落ち葉に交じって,カクレミノの葉が落ちていました。

鮮やかに黄色く色づいた,大型の葉なので目立ちます。[写真1]
葉柄が長くて,葉の長さと同じくらいあります。

葉は分裂しているものと,分裂していないものがあり,分裂している葉も2裂から5裂まで変化があります。
若木ほど葉は深く切れ込んでいて,成木では大部分の葉が分裂していない卵形をしています。

カクレミノは常緑樹なので,全ての葉が一斉に落葉するわけではありません。
ぽつりぽつりと順番に黄色く色づいて,落葉してゆきます。
[写真3]は,青々と茂った葉のなかに,黄色い葉がまじっている様子です。

『朝日百科 植物の世界』(1997年)には,カクレミノについて次のように書いてありました。

全株無毛の常緑小高木。若木や萌芽枝の葉は3~5裂するが,成木のものは卵形で全縁となり,3脈が目立つ。前者をミツデ,ミツガシワ,後者をマルミツデとよぶこともある。このようなものを二形葉といい,キヅタやヒイラギで顕著。葉の寿命はおよそ1年6カ月で,2年目の秋に鮮やかに黄変して落葉する。7~8月に,枝の先に散形花序を1個から数個つけ,淡黄緑色の花を咲かせる。花序の中軸のものは雌花,下方のものは雄花か両性花で,両者が混生する。

「葉の寿命はおよそ1年6カ月」ということは,2年ですべての葉が入れ替わっているということですね。

「カクレミノ」の名は,着ると身を隠すことができる想像上の蓑,「隠れ蓑」に由来するといわれています。

深津正著『植物和名の語源』(1999年)には,次のように書いてありました。

名前の通っているわりには,その名の由来を知る人は少ない。想像上の宝物の一種に隠れ蓑というのがあり,これを身につけると姿が見えなくなる,といわれる。 一切の願いが立ちどころに叶えられるという如意宝珠,打つと好きな物がなんでも出てくる打出の小槌などとともに,鬼や天狗の持ち物とされ,昔話によく出てくる不思議な代物である。これらの宝物を絵模様にしたのが,いわゆる「宝づくし」で,これに描かれた隠れ蓑に葉の形がよく似ているので,カクレミノといったものである。昔は,「宝づくし」の模様を振袖などに用いたから,誰しもその語源を実感できたが,そうした実体が失われた今では,その名の由来が,わかりにくくなってしまった。

「宝づくし」に描かれている「隠れ蓑」とはどんなものなのでしょうか。

ネットで探すと,木版画の画像がありました。
宝尽くし
左,中ほどにあるのが「隠れ蓑」です。
右側,上にあるのが,「隠れ蓑」とペアで使われる「隠れ笠」です。
「隠れ蓑」といっても,特別な形をしている訳ではなく,普通の蓑の形として描かれています。
カクレミノの3裂した葉の形は「蓑」を連想させるのですが,それを単に「蓑葉」と名づけずにひとひねりして,縁起の良い「隠れ蓑」の名をつけたのかもしれません。

宝づくしに描かれている他の宝をいくつかあげてみると,次のようなものがあります。
・分銅 …秤の重り。
・宝巻(ほうかん)…お経が書かれた巻物。
・金嚢(きんのう)…お金を入れる巾着。
・打出の小槌 …大黒さんの持ち物。
・丁字(ちょうじ)…香辛料のクローブ。
・宝鑰(ほうやく)…蔵の鍵。
・宝珠(ほうじゅ)…のぞむものを何でも出すことができるという珠。

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