• ドウダンツツジ
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ドウダンツツジの花が咲いています。[写真1][写真2]

「ドウダン」ツツジの名は「灯台」が変じたものです。
なるほど,そう言われてみると花の形が提灯のような形をしているなと思ってしまいますが,「灯台」に似ているのは花ではなく枝ぶりの方です。
(→2007年4月27日

ドウダンツツジの雄しべには,アセビの雄しべと同じように角が生えています。
(アセビの雄しべについて→2010年3月17日
よく似ていますが,ドウダンツツジの雄しべの角は葯の先端部から生えているのに対し[写真5],アセビの角は葯の付け根から生えています[写真6]。

[写真3]は,花を縦に切断したところ。
[写真4]は,花柱の真上から見たところ。
花柱を中心に雄しべが環状に整然と並んでいますね。

雄しべの角は花粉を振り出すためのレバーの役目をしています。
花の奥にある蜜を求めてミツバチが頭を突っ込むと,横に張り出している雄しべの角に触れ,角につながっている葯が揺さぶられ,花粉をミツバチの体に振りかけるという仕組みになっています。
北隆館『山里の野草ウォッチング』(1991年)には,次のように書いてありました。

 ドウタンツツジには雄しべが10本あり,それぞれに2本の長い角が生えている。雄しべの長さが3mmほど, 角の長さは1mmで全体の長さの1/3にあたる。これは角が受粉のためにかなり重要な役を演じていることを示唆している, と見るべきだろう。
 雄しべは花粉を入れている葯と, それを支える花糸て溝成されるが, ドウダンツツジでは葯の先のほうに角が生えている。生えているという表現は正確でなく,花粉を生産するはずの葯の先半分が本来の仕事をやめ,細長い角に変形したと見るべきであろう。この角に触れると,葯はうなずくように首を振る。このように葯を揺らすと,葯の両側にある隙間からさらさらした花粉がこぼれ落ちてくる。
 ドウダンツツジの白い花が咲きはじめるとニッポンヒゲナガハナバチやセイヨウミツバチがやってくる。彼らは反りかえった花冠の裂片につかまり,頭を花冠の中にさしこんで蜜を吸う。顔面は花粉で淡緑色になり,上記のしくみが十分機能しているらしいことが分かる。ハチについた花粉は,花冠の入口まで伸びてきている雌しべの柱頭につき受粉をする。

ところで,花が下向きに咲いているのに,どうして蜜は垂れ落ちないのでしょうか。
同書には,次のように書いてありました。

花冠の基部には5個の丸みをもった盛り上がりがある。花の内部から見れば窪みだが,左右から圧しつぶされたように平たく,その中に蜜が蓄えられている。また,雄しべの基の方には細かい毛が密生しており,その毛の間にも蜜がしみこんでいる。ドウダンツツジの花は,これらの狭い空間に生ずる表面張力をうまく利用して,蜜の流出を防いでいるのである。