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カキツバタ

2010年5月26日
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「いずれアヤメかカキツバタ」といわれるように,アヤメ科の植物はよく似ていて紛らわしいものです。
今まで園芸植物にはあまり興味がなくて,アヤメ科植物の見分け方について詳しく調べることはなかったのですが,最近は少なくともカキツバタ,アヤメ,ハナショウブ,キショウブの見分けだけでも知っておきたいなと思うようになってきました。

まずは動物園南の疎水べりに咲いている,カキツバタ(と思う)について。
『朝日百科 植物の世界9』(1997年)には,カキツバタについて次のように書いてあります。

 カキツバタ Iris laevigata はノハナショウブに近縁で,近畿地方から北海道,朝鮮半島,中国東北部からシベリア東部にかけて分布する。日当たりのよい水深の浅い沼沢地,湿地に生える夏緑の多年草で,地中浅<,分枝する根茎が横にはう。葉は剣状で,やや黄色みをおびた緑色をしており,幅2~3センチ,長さ約70センチになる。種小名が「平滑な」を意味するように,葉の中央には突出して目立つ肋(ろく)がなく,葉先は鳥の爪状に小さく内曲する。
 花期は初夏であるが,ノハナショウプと比べると1カ月あまり早く,低地では4月下旬から5月に花が見られる。花は葉とほぼ同じ高さに開く一日花で,2~3個が上から順に咲く。花は多少青みをおびた紫色をしており,垂下する幅4~6センチの外花被片(がいかひへん)の基部から中ほどにかけて白っぽい淡黄色の線状紋が入る。花色が濃紫や濃紅紫になるもの(中国東北部),また白になるもの(京都の深泥池)など,変異も知られる。内花被片は倒披針形,長さ約6センチで直立する。花柱枝の先端は2裂し,外花被片上を飾る。花は直径約12センチ。カキツバタの語源については,染色に使ったとする「掻付花(かきつけばな)」「書付花」の意とする説が有力視されるが,垣の下に咲くという意味の「垣津(かきつばな)花」説,カツコウが鳴く早い季節に花が見られるという意味での「カッコバナ」からの転訓など,諸説がある。

・生えていた場所は確かに「日当たりのよい水深の浅い沼沢地,湿地」です。

・葉は「剣状で,やや黄色みをおびた緑色をしており,幅2~3センチ,長さ約70センチ」
「葉の中央には突出して目立つ肋(ろく)がなく,葉先は鳥の爪状に小さく内曲する」
よく似ているノハナショウブとの大きな違いは,葉の中央に目立つ脈があるかどうかだそうです。
カキツバタの葉の中央には突出した脈がありません。[写真6]

・「低地では4月下旬から5月に花が見られる。」
5月上旬から咲いていましたが,今は花の盛りをすぎています。
・花は「多少青みをおびた紫色をしており,垂下する幅4~6センチの外花被片(がいかひへん)の基部から中ほどにかけて白っぽい淡黄色の線状紋が入る。」
カキツバタの花びら(のように見えるもの)は,外花被(萼),内花被(花弁),雌しべ(花柱枝)の3つの部分からなっています。[写真1][写真2]
咲いている状態では外花被の紋は白っぽい部分しか見えていませんが,分解すると基部から続いている線状紋は淡黄色です。

・内花被片は「倒披針形,長さ約6センチで直立する」
内花被は垂れ下がることなく直立しています。[写真1]

・花柱枝の「先端は2裂し,外花被片上を飾る」
[写真4]は雌しべだけを露出させたものです。
子房から伸びる花柱は3つに分かれ,それぞれの先端は2裂しています。
[写真3]のように,花柱枝は外花被に覆いかぶさり,中に雄しべを隠しています。
花粉を受けとる柱頭は,2裂した先端の根元にある爪状の部分にあります。
蜜を吸うためにハチが花にもぐりこむと,爪状の部分が背中についた花粉をこそげ落として受粉する仕組みになっているそうです。
[写真5]は花柱枝の先端部分の断面です。

以上のようにこの花はカキツバタだと思うのですが,一つ気になるのは,花軸の切断面を見ると中実だということです。[写真6]
『新訂・図解生物観察事典』(地人書館・1996年)には,アヤメ,ハナショウブ,カキツバタの見分け方の表のなかで花軸の特徴として,はアヤメは中空,ハナショウブは中実,カキツバタは中空としてあります。

誤植なのかどうか,他の本を見ても花軸が中空かどうかについて言及してあるものが見当たらず,気になるところです。

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