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ユキノシタ

2010年6月9日
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南禅寺の樹下にユキノシタの花が咲いていました。[写真1]
日陰に咲く,かよわい感じの花です。
花びらなどは風が吹いただけではらはらと散ってしまいそうですが,以外にしっかりとしています。

花をよく見ると,雌しべの周りに光沢のある黄色いつぶつぶのようなものがあります。[写真2]
それもまわりぐるっとにあるのではなく,上半分だけです。
これは花盤(かばん)とよばれるもので,花托(かたく)の一部が大きくなった突起だそうです。

[写真3]は,花の断面。
花托が隆起して,子房のまわりを片側だけ覆っています。

『牧野新日本植物図鑑』(1970年)には,ユキノシタの花について次のように書いてありました。

半常緑多年生草本で,本州,四国,九州の湿った地上や岩上に自生するが,また庭園にも栽培される。全体は長い毛におおわれほふく枝は紅紫色の糸状で長く地上を伸び,新しい株を作る。葉はロゼットにつき,長い葉柄があり,じん臓形で基部は心臓形,ふちはごく浅く裂け,低いきょ歯がある。上面は黒っぽい緑色で白っぽい脈があり,裏面は暗赤色である。花茎は高さ20~50cm,下部には葉がついていることが多い。 5~7月に茎の上部に多数の白花が円すい花序となって開く。花序には紅紫色の腺毛が密にはえる。がくは五つに深く裂け,裂片は卵形。花弁は5個あって,上の3弁は小さく,長さ3mm位。卵形で短かい柄があり,淡紅色で,渡い紅色の斑点がある。下の2弁は上弁の4~5倍の長さがあり,皮針形で白色,垂れ下る。雄しべは10本。花柱は2本。花盤は黄色。さく果は先端が2個のくちばし状である。ホシザキユキノシタ,アオユキノシタ,シロミャクアオユキノシタなどの変種がある。 〔日本名〕雪の下は多分葉の上に白い花が咲くのを雪にたとえ,その下に緑色の葉がちらちら見える形を表現して名ずけたものであろう。 〔漢名〕虎耳草。

葉について「上面は黒っぽい緑色で白っぽい脈があり,裏面は暗赤色である」とありますが,[写真5]にあるようにこの個体の葉はすべて上面は薄緑色で,裏面は白っぽい色です。
他の場所に生えているユキノシタの葉がどうなっているのか,いくつかの場所を確認してみると,暗赤色をしているものもありました。[写真6]

『朝日百科 植物の世界』(1997年)には,ユキノシタの葉について「裏面はときに暗紅色をおびる」とあるので,どの個体も暗紅色となるわけではないようです。

ユキノシタの葉の色についてネットで調べてみると,日本植物生理学会ホームページの質問コーナーに,関連する質問がいくつか載っていました。
それによると,ユキノシタの赤い色はアントシアニンによるもので,株によってアントシアニンを合成するものと合成しないものがあるようです。

「ユキノシタの葉の表皮細胞の色素が株ごとに異なるのは? 」という質問に対する回答のなかに次のように書いてありました。

ユキノシタについては、実物を調べないと原因を正しく特定することはできませんが、色の異なる株が同じような場所に混在しているとのことなので、日当たりなどの環境の差によるものではなく、株ごとに何らかの遺伝的な違いがあるのだろうと思われます。このように同一種の野生群落に赤いものと赤くないものが混在するのは、いろいろな植物で見られる事象です。分類学的に色の他に形態に種、亜種を分けるほどの差異がないのなら、変種、品種などのレベルの違いで、「成分変種」(chemotype)とも呼ばれます。

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