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コウガイビル

2010年7月18日
  • コウガイビル
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コウガイビルです。
[写真1][写真2]は,7月1日に道を横切っていたもの。
[写真3][写真4]は,7月15日に壁を這っていたもの。
どちらも,梅雨の雨が降った翌朝です。
両者は頭の色が異なるのですが,どちらもクロコウガイビルではないかと思います。
体長8cmほどでした。

[写真5][写真6]は,3年前に撮影したオオミスジコウガイビルです。(→2007年7月10日
オオミスジコウガイビルは近年全国各地に棲息域をひろげている外来種で,こちらは大きなものでは体長1mにもなるそうです。

コウガイビルは「ヒル」という名がついていますが,ヒルの仲間ではありません。
ヒルのように動物の血を吸うこともなく,無害な生き物です。

平凡社「世界大百科事典」にはコウガイビルについて,次のように書いてありました。

渦虫(かちゅう)綱コウガイビル科Bipaliidaeに属する扁形動物の総称。頭が半円形で,くびが急に細くなっているようすが,昔の髪にさした笄(こうがい)に似ているところからこの名がある。またヒルという名がついているが,環形動物のヒルとは異なる。体は細長くて扁平。体長はふつう5~10cmであるが,長いものでは80cmにもなる。

頭葉部の全辺縁と頚部(けいぶ)の両側に無数の小単眼が並んでいる。口は腹面中央よりやや後方にあり,生殖孔は口と尾端との間に開いている。雌雄同体。森林の石の下や湿気の多い場所にすみ,梅雨のころに道や庭,台所などにも現れる。体から透明な粘液を出しながら移動するのではった道筋が光っている。とくに害を与えるものはない。

頭部の縁には「小単眼が並んでいる」とあります。
カメラを近づけると頭を持ち上げて,こちらを向いたので,目には見えませんが確かに眼があるようです。

名前の由来となった笄(こうがい)は,現在では忘れさられたものの名前の一つですが,江戸時代には櫛(くし),簪(かんざし)とともになくてはならない髪飾りでした。
服装文化協会編『服装大百科事典』(1976年)には,笄について次のように書いてありました。

髪飾に使われる笄は,江戸時代にはいって行なわれたもので,もっぱら婦人用であった。江戸時代になって,従来の垂髪(たらしがみ)を巻いたり,結ったりするようになると,髪掻き用として,まず細長い板状の笄が出来た。長方形のものもあるが,多くは角をまるくして箆(へら)状になりやがて両端をややふくらませたものが出来て,笄髪・椎茸髷(しいたけまげ)・丸髷などに便となった。

のち棒笄の両端にそりができて便利になり,中央が極端に細くなって,杵(きね)形となり,次に,それが抜き差しできるように工夫されて,髪をあらかじめたはねて,両側からさし込んでとめることができるようになった。

この笄の一種に中差(なかざし)と呼ばれる一端が耳掻き状になったものが出来て,髷の中にさした。髪の後からさすのを後差し,前からさすのを前差しと呼んだ。ともに中差しよりも短い。耳掻き付きの笄は,江戸時代の貞享年間(1684~87)ごろから一般に行なわれだした。

元来,笄は簪のように脚が割れていないのが原則であるが,中には簪への移行形式のように見える足が2本に割れて密着していたり,また割れたように見せるために縦に筋を引いたものもある。笄は髪型にもよるが,中・前・後ろにさすほかに,中差しを何本も放射状にさす場合もあり,その最も著しいのが遊里の太夫であった。

同書に掲載されていた各種笄の図
笄の図
上から2番目のものが中差と呼ばれるものです。
他の笄はコウガイビルの形とは全然似通っていないので,コウガイビルの名は中差の形から来ているようです。

中差は中差簪とも呼ばれ,露木宏著『日本装身具史』(2008年)には簪の項に解説が載っていました。

天保頃から江戸末期の嘉永にかけて,もう一種,両天簪とは違うタイプの笄のように用いられた簪があった。中差(なかざし),または中差簪と呼ばれるもので,耳掻きの付いた一本脚の髪飾りで,脚が太くしっかり作られているのが特徴。普段は笄の代わりとしてこの中差を用いることが多かった。

  • [写真1]クロコウガイビル
    2010年7月1日  »»拡大
  • [写真2]クロコウガイビル
    2010年7月1日  »»拡大
  • [写真3]クロコウガイビル
    2010年7月15日  »»拡大
  • [写真4]クロコウガイビル
    2010年7月15日  »»拡大
  • [写真5]オオミスジコウガイビル
    2007年7月10日  »»拡大
  • [写真6]オオミスジコウガイビル
    2007年7月10日  »»拡大

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