• ケガワタケ
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カエデの切り株に,薄い煎餅のようなキノコがたくさん生えていました。[写真1]

ケガワタケだと思います。
6年前,カエデが切り倒されたあとに生えてきて以来,毎年発生しています。(→2004年6月9日

保育社『原色日本新菌類図鑑』(1987年)にはケガワタケについて,次のように書いてありました。

傘は径3~8cm,初め類球形,のち開いて中央がくぼんだまんじゅう形~ろうと形となり,やや革質。縁は初め内側に巻くが,のち広がり,しばしば不規則に波打つ。表面は初め庄着した繊維状の鱗片で密におおわれ,灰褐~黒褐色,のち傘が開くにつれて鱗片は散在し(中央では密集),白~クリーム色の地肌を露出する。肉は薄く,白色。ひだは垂生し,密,白色のちやや黄色,幅は狭く2~5mm,縁は成熟するにつれ鋸歯状となる。柄は3~5×0.5~1.5cm,中心生~偏心生,表面は白色または基部に向かって褐色となり,細かい鱗片を散在しているが,古い子実体ではほぼ滑らかとなる。ひだとの境界付近に白色,繊維状のつばをもつが,つばは消失しやすい。

学名は「Panus tigrinus(Bull.:Fr.)Sing., Lentinus tigrinus(Bull.:Fr.)Fr.」となっています。

『山渓カラー名鑑 日本のきのこ』(1988年)でも学名は「Panus tigrinus (Bull,: Fr.) Sing.」となっています。
ところが「独立行政法人 森林総合研究所九州支所」のホームページによると,ケガワタケは欧米に分布する「Lentinus tigrinus (Bull.:Fr.) Fr.」ではなく,熱帯性のきのこ「 Lentinus squarrosulus Mont.」であることが判明したと書いてありました。(1999年9月1日の記事)

これまでケガワタケは,欧米に分布するLentinus tigrinus (Bull.:Fr.) Fr.とされてきましたが,西アフリカから東南アジアに分布する熱帯性のきのこの Lentinus squarrosulus Mont.であることが判明しました。日本は分布の北限にあたります。国内では,1913年に東京目黒のカシの朽木に生えていたのが報告されたのが初めての記録でした。九州以外では,高知県,鳥取県でも見つかっています。

日本では食用にされませんが,ナイジェリアでは最も好まれるキノコの一つですとも書いてあります。
6年前に試食した時には,味は悪くはなかったのですが肉厚が薄くて硬くて,あまりおいしいと感じませんでした。
成熟すると硬くなるそうなので,もっと若いときに収穫しなければならなかったのかもしれません。

「Lentinus squarrosulus Mont.」でネット検索すると英語やタイ語のサイトが多数ヒットします。
しかし,栄養分析や栽培法といった学術的な内容のものが多く,調理方法といったものは見つけることができませんでした。

タイ語のページが多いということは,タイ料理では食材にしているのかもしれません。
方向を変えて,タイのキノコ料理を検索すると,北タイのキノコを紹介するサイトがありました。
「ヘットコンカーオ」というキノコの学術名が「Lentinus squarrosulus Mont.」となっているので,これがケガワタケのようです。
マンゴーの枯れ枝に発生するので中部タイでは「マンゴータケ」と呼ばれているともあります。

タイではケガワタケを日常的な食材として使っているのですね。
タイ料理にあうのかもしれません。