• ニホンイシガメ
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水路をカメが歩いていました。[写真1][写真2]

背中の中央に隆条(盛り上がった部分)が1本あり,甲羅の後ろがギザギザ,手足にオレンジ色の線があることからニホンイシガメのようです。[写真2]

[写真3]~[写真6]は,2008年7月に写したニホンイシガメです。

平凡社『日本動物大百科 第5巻』(1996年)には,ニホンイシガメの特徴について次のように書いてありました。

甲はやや偏平で,幼体は背甲に3本の隆条をもつが,成体では中央に不明瞭な1本が残るのみ。背甲の後縁は鋸歯状だが,年をとると目立たない。背甲は赤か黄色みをおびた褐色で,腹甲は黒色または黒褐色。頭部はやや小型で,背面は黄褐色,側頭部やのどには不明瞭で不規則な暗色の模様がある。オスの尾はメスにくらべて長く,付け根の部分が太い。尾を後部に伸ばすと,オスの場合は総排出腔全体が背甲の後緑より外側,メスでは総排出腔の一部は内側。

・甲羅は「やや扁平」。どの程度が「やや扁平」なのかは比較しないとわかりませんが,クサガメも「やや扁平」,スッポンは「非常に扁平」と記載してありました。外来種のミシシッピアカミミガメは「ゆるやかなドーム状」。

・成体の甲羅には,中央に不明瞭な隆条が1本ある。クサガメには発達した隆条が3本あります。

・甲羅の後縁は鋸歯状でギザギザになっているが,年をとると目立たなくなる。
[写真6」甲羅の後縁はギザギザになっています。
このカメの年齢はいくつくらいだったのでしょうか。
イシガメの甲羅には成長に合わせて年輪が刻まれるので,10歳くらいまでなら年輪の数で年齢がわかるそうです。
[写真3]を見ると,確かに甲羅の1枚1枚に年輪があります。
この個体は10歳は超えているようですね。
[写真5]を見ると,腹側の甲羅にも年輪があります。

・背側の甲羅は,赤か黄色みをおびた褐色。[写真4]

・腹側の甲羅は,黒色または黒褐色。[写真5]

・頭部はやや小型で,背面は黄褐色,側頭部やのどには不明瞭で不規則な暗色の模様がある。[写真3]
頭部の先端はクサガメに比べると,とがった感じがします。

・雄は雌に比べて尾が長く,付け根の部分が太い。
これはカメのなかま一般的にいえることらしいです。
カメの尾には総排出孔といわれるものがあり,糞も尿も精子もここから排出されます。
雄は交尾時にはここからペニスを出しますが,普段は尾のなかにしまっています。
そのため,雄の尾は長く,付け根の部分が太くなっています。
また雄の総排出孔は甲羅の後ろ縁より外側に,雌は内側に位置しています。

カメの雄雌の決定は,産卵場所の温度によって決定され,温度が高ければ全部が雌に,低ければ全部が雄になるそうです。
前書には次のように書いてありました。

一般に脊椎動物の性は性染色体によって受精の段階で決定される。しかし,ワニと大部分のカメは,胚発生の時期の温度環境によっで性が決定されることが1970年代の後半から80年代にかけて明らかにされ,一般にTSD(Thermal dependance of Sex Determination)として知られるようになった。性比,つまりメスとオスの比率はその種の個体群維持に重要な要素であるにもかかわらず,温度のように変化しやすい条件で決定されることの適応的意義が考えにくく,しかもそれが四足動物で発見されたため,非常な関心を呼び,現在でも活発に研究されている。

日本の渥美半島では,冷夏といわれた1993年にふ化した幼体はすべてオス,逆に猛暑の夏といわれた94年にはすべてメスが生まれ,また, 91年はメスの率が10%から67%のあいだで砂中温度とともに変動したことが報告されている。