• ルリタテハ
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蛹になっていたルリタテハ(→ 2010年9月26日)が羽化しました。

9月22日に見つけたのは,蛹が2頭(…蛹1号,蛹2号)と終齢幼虫が2頭です。
幼虫は翌日に1頭が蛹化し(…蛹3号),その翌日にもう1頭が蛹化(…蛹4号)しました。

蛹1号,2号は,壊れたメトロノームのように,一日中ずっと体を振り続けていました。
こうした状態のときは,寄生バチなどに侵されている場合が多くあります。

何日間も体を振り続け,動きを止めたかと思うと,今度は体が黒ずみ出しました。
いよいよ寄生バチが蛹の体に穴をあけて脱出してくるかと,怖いもの見たさで待っていたのですが,意外なことに,蛹1号,2号とも正常に羽化しました。

蛹3号は,羽化までの13日間,おとなしくぶら下がっていました。
蛹化したのが9月23日で,羽化が10月5日です。
上の写真は,蛹3号の羽化の様子です。

[写真1]午前8時49分。
羽化開始。人口冬眠カプセルの蓋が開くように,殻が縦に裂けて,頭が出てきました。

[写真2]午前8時50分。
するりと殻から抜け出し,ぬけ殻につかまります。
翅はしわくちゃ。

[写真3]午前8時57分。
抜け殻につかまって羽が伸びるのを待っています。

葉の上へ出ようと,何度も何度も肢を繰り出すのですが,ひっかかるものがなくて,なかなか上へ上がることができません。
こういうとき,肢が4本なのは不利なような気がします。
(タテハチョウのなかまは前肢が退化していて,使える肢は4本です。)

9時18分,血のような羽化液を排出。
タテハチョウ類の羽化液は赤茶色をしています。
その後も頻繁に,透明な体液を排出しました。

[写真4]9時49分。
茎のてっぺんで羽を開け閉めしています。
(翅を乾かしているのかなと思ったのですが,翅が濡れているわけではないので,体液を翅の隅々までいきわたらせているのでしょうか)
タテハチョウの仲間は名前のように,翅を立ててとまります。
この模様は,クヌギなどの樹皮への擬態?

[写真5]10時35分。
翅を開いたところを,ようやく写すことができました。
翅は開いてはすぐ閉じるので,開いたところはなかなか写せません。

11時頃にふらふらと少しだけ飛びました。
ルリタテハが飛び立てるようになるには,羽化してから2時間以上かかるようです。

残った蛹4号は,10日間を過ぎたあたりから体を激しく動かすようになりました。
動かしすぎたのか,腹のところに裂け目ができ,体液がすこしにじみ出しました。
結局,蛹4号はうまく羽化できませんでした。

『原色日本蝶類生態図鑑(Ⅱ)』保育社(1983年)には,ルリタテハの生息地について,次のように書いてありました。

本州中部では海岸に近い平地から亜高山帯下部にかけて生息する。おもな生息地は丘陵地帯から標高1500mぐらいまでの雑木林である。生息地の林は真夏でも薄日がもれる程度で,このような林床や林縁に生えたサルトリイバラなどが幼虫の食餌植物となる。また,神社,寺院,墓地,公園,人家の庭にユリ科とくにホトトギスなどが植栽されている場合には市街地にも発生する。このような所ではとくに秋に多く見られる。

なるほど,その通りですね。