• ジョロウグモ
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ジョロウグモの巣が目立つ季節になりました。
山道で上を見上げると,道をまたぐように大きな網が張られています。

でもなんだか,ジョロウグモの巣は雑然とした感じがしますね。
主網の前後にも,乱雑に糸が張り巡らされているためでしょうか。

ジョロウグモの網は3重構造になっているそうです。
新海栄一著『ネイチャーガイド 日本のクモ』(2006年)には次のように書いてありました。

樹間,草間に目の細かい円網を張る。網は主網と,その前後に糸を引き回したバリアーと呼ばれる網とで三重構造になっている。主網は幼体期は円網であるが,成長に伴い下部が大きくなり,全体的に馬の蹄のようなに見えることから蹄形円網と呼ばれる。

網の中心にいる,派手な色をした大きなクモが雌です。
雄は雌の1/3程の大きさで,同じ網の隅っこの方にいます。[写真4][写真5]

雄のクモが雌より小さい理由について,興味深い記事が wiredvision に載っていました。
wiredvision 2010年8月20日

オスのクモはメスのクモに比べて体が小さいことが多いが、それはなぜだろうか。この疑問はダーウィンの時代から生物学者たちを悩ませてきた。これまでの学説としては、大型のメスのほうがより多くの子孫を生み出しやすいというものだったが、メスとオスのサイズの違いを説明しきれるものではなかった。
このたび、この理由の一部は、オスのクモは体が小さい方が移動しやすく、遺伝子を広げやすいからだという研究が発表された。
『BMC Evolutionary Biology』で8月2日(米国時間)に公開されたこの研究は、スペイン科学研究高等会議(CSIC)の進化生物学者であるGuadalupe Corcobado氏に率いられた研究者チームによるものだ。
研究者チームは、さまざまなクモを風洞の中に置き、「橋を架ける」能力を調べた。つまり、糸を送り出し、風に乗せて別の地点に着地させ、そこへと渡る技能だ。その結果、クモは小さい方がより頻繁に架橋を行なうこと、また、性別によってサイズが明確に異なるクモにおいて、架橋行動がより頻繁であることがわかった。
Corcobado氏はプレスリリースで、次のように述べている。「架橋が移動手段として一般的である種においては、小さなオスは、架橋をより効率的に行なうことで交尾の機会が多くなり、受け入れてくれるメスにたどり着く競争の強者となる」。「これが、オスの大きさが小さくなる選択圧になっている可能性がある」

[写真6]は,雌の腹面です。
ヒョウ柄を思わせる強烈な色彩ですね。
自然界では黄色と黒色の組み合わせは,危険を知らせる警告色です。
それに赤色まで加わっています。
獲物を待ち伏せするためには,できだけ目立たない地味な色にしておく方がよいように思うのですが。

そういえば,コガネグモなど空中に網を張る大型のクモはみな,黄色と黒色の警告色をしていますね。
これは鳥への警告色なのでしょうか。(実際に毒はないので,いわゆるベイツ型擬態?)
空中に長時間身をさらしているのにもかかわらず,ジョロウグモが鳥に食べられるというケースはあまりないような気がします。
鳥がジョロウグモを食べないことと,この派手な色彩とは関係があるのでしょうか。