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ヒイラギ

2010年12月7日
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ヒイラギの花びらが散り,花柄だけが残っていました。[写真1]
本来ならば花柄の先端には,膨らんだ子房がついているはずですが,この木は雄株なので,実はなりません。

[写真2][写真3]は,11月初め頃の花です。
2本の雄しべが目立つものの,雌しべは未成熟で,雄花であることがわかります。

ヒイラギは雌雄異株で,雄花(雌しべが未熟で雄しべだけが機能している花)が咲く木と,両性花(雌しべも雄しべも両方とも機能している花)が咲く木があります。
『牧野新日本植物図鑑』(1970年)には,ヒイラギの花について次のように書いてありました。

秋,葉脇に花柄のある白色の小さい花を散形に束生し,多少よい香がある。がくは緑色で4裂し,花冠も深く4裂し,裂片は楕円形。雄しべは2本,雌しべは1本,雌雄異株で花形は同じであるが,雌樹では雌しべが発達し,花柱も長くて結実するが,雄樹では結実しない。核果は楕円形で黒紫色に熟す。

「多少よい香がある」と書いてありますが,戸外ではそんなに匂わないものの,部屋の中に置いておくとかなり強い芳香がします。
名前については,次のように書いてありました。

疼木で疼はひいらぐ(痛む)の意味。葉の刺にふれると疼痛を起すことからいう。ヒラギと呼ぶのは誤りである。

漢字の「柊」は,「冬の木」からきたのではなく,「疼木」からきたのかもしれません。

[写真4]の左側は葉の裏面,右側が表面。
若木の葉縁には1~4対の,先が鋭い棘状になった鋸歯があります。
老木になると棘がなくなり全縁になります。
葉裏には,半透明の腺点が散らばっています。[写真5]
腺点とは,葉裏にある蜜や油などを分泌する小さな点を言いますが,何のためにあるのかはっきりとはわからないそうです。

ヒイラギといえば,京都では節分にイワシの頭を焼いて,ヒイラギの枝に刺し,家の門口に立てて魔除けにする風習があるとか。
でも,私は今まで実物をみたことがありません。
(お正月の「根引松」ほどには,一般的ではないようです。)

平凡社『世界大百科事典』(2007年)には,ヒイラギの民俗について次のように書いてありました。

節分にイワシの頭をヒイラギに挿して戸口にかかげて魔よけとする風習は広い。 このほか,こと八日,大晦日などの年の替り目や流行病がはやったときにも同じことをする。これらは, ヒイラギの葉のとげやイワシの悪臭で邪霊や疫病を防ごうとしたものであり,古く《土佐日記》元日の条にナヨシの頭とヒイラギをつけた家々のしめ縄のことが出てくる。またヒイラギを屋敷に植えると魔よけとなり流行病にかからないという所も多く,逆に富山県氷見市ではヒイラギが枯れると死者がでるという。 ヒイラギは《延喜式》に卯杖(うづえ)の材料の一つとして挙げられているように,古くから強い生命力と魔よけの力をもつ常緑樹とされてきた。《想山著聞奇集》などによれば,京都下鴨の比良木社(下鴨神社の境内末社出雲井於神社)は〈柊さん〉とも呼ばれ,疱瘡の神で,願がかなったお礼に社頭に任意の本を植えておくと, いつの間にかヒイラギになってしまうと伝えている。 このほか, ヒイラギに餅花をつけて神饌としたり,節分にヒイラギの葉の燃え方で一年の天気占いをする風習もあり,民間療法でもヒイラギは病気よけとして使われる。

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