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センダンの実

2011年1月18日
  • センダン
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地面一面にセンダンの実が落ちていました。[写真1]
見上げると,大きなセンダンの木が枝をひろげています。

何個か拾って持ち帰り,中身を調べてみました。

果実の表面はセルロイドのような薄い丈夫な果皮に覆われています。
果皮をめくると,白い果肉があらわれました。[写真2]
手触りはぬるぬるとしていて,脂質です。
昔からひび,あかぎれ,しもやけの民間治療薬として用いられていたそうです。
この油っぽさからすると,実感として納得できます。
塗ると効きそうな感じがしますね。
実際に効力があるようで,漢方では苦楝子(くれんし)という生薬になります。

果肉を取り除くと,空気のぬけたラグビーボールのような楕円形をした核があります。[写真3]
とても硬い核で,ナイフをあてて上から金槌でたたき,割ってみました。
中には細長い種子が3~4個入っていました。[写真4]

核は一見種子に見えますが,種子は核の中にあり,核自体は果実の一部です。
このように内果皮(子房の内側の皮)が木質化して核となり,中に種子を含むものを「核果(かくか)」または「石果(せきか)」といいます。

核は果実が動物に食べられた際に,種子まで消化されてしまうのを防ぐ役目をします。
種子が消化されなければ,種子は糞にまじって排泄され,結果,種子がひろく散布されることになります。

動物にいったん食べられ,種子の不消化排出を期待して散布する方法を「被食散布」といいます。
被食散布される果実は,種子が消化されないよう,種皮が硬くなったり核に守られたりしています。

動物はタダでは種子散布してくれないので,果肉という報酬を与えなければなりません。
センダンの果肉も濃厚でカロリーが高そうです。
冬場には好まれるのかもしれません。

小林正明著『花からたねへ―種子散布を科学する』(2007年)には,次のように書いてありました。

 この方法を周食散布または果肉報酬といい,ほ乳類や鳥に依存することが多い。これらの動物は恒温性なので,体温を保つためにエネルギーを多く必要とする。そのために多食するので散布してもらいやすい。また鳥は歯がなくて餌を飲み込むので種子が傷つかない。また空を飛ぶために身を軽くする必要があり,数分から数十分で排出するという特性がある。早く排出すると親植物からの移動距離が極端に遠くならず,似ている環境に散布される可能性が高い。鳥の排出の多くは数十m,どんなに遠くても1kmを越すことはないといわれている。
 この散布方法をもつ植物は果肉はもちろんだが,鳥が食べやすい果実の大きさと種子が消化されない固い殻(核;胚を保護する堅い種皮や内果皮など)を用意している。そして果実の色を鳥の食欲をそそる赤,青黒色,黒褐色にしている。これは多くの分類群で同じ方向に進化した(収れんした)といわれている。

センダンの実を食べているのは何でしょうか。
実の大きさは2cmほどあるので,ある程度の大きさの鳥でないと食べることができません。
よく見かけるのはヒヨドリです。[写真5]
そばにあるエノキの木には,よくイカルが群がっているのですが,センダンの実はあまり好まないようです。

[写真6]は,数年前に歩道にたくさん落ちていたセンダンの実。(→2005年1月14日
果肉がきれいにはぎとられています。
付近にはセンダンの木はなく,なぜこの場所にセンダンの実が落ちているのか不思議だったのですが,ヒヨドリが集団で糞をしたのかもしれません。

犬が誤ってセンダンの実を食べたところ,排出された便のなかにそのままの形で混じっていたという話がネットに出ていたので,鳥も多分,核をそのまま排出するのだと思います。

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