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カンサイタンポポの実。[写真1][写真4]

花は2月下旬ころから咲いていたのですが,なかなか実を見ることがができませんでした。
綿帽子らしきものがあっても,未熟なものばかりだったのです。[写真6]

外来種のセイヨウタンポポは倍数体で受粉しなくても無性的に種子を作ります。
それに対し,在来種のカンサイタンポポは二倍体で有性生殖をし,自家不和合性もあるので,他家受粉が必要です。
その分,種子は出来にくいようです。

[写真2]は,セイヨウタンポポ(左)とカンサイタンポポ(右)の綿帽子を比べたもの。
セイヨウタンポポの方が大きくて,実の数も多いですね。

[写真3]は,セイヨウタンポポ(右)とカンサイタンポポ(左)の実。
タンポポの果実は痩果(そうか)と言われるタイプで,1心皮からなり,中に1種子を含みます。

どちらも冠毛がついていますが,セイヨウタンポポの方が2倍くらい大きいです。
それなのに,実はカンサイタンポポの方が大きくて,重そうです。
セイヨウタンポポの実の方が遠くまで飛ぶだろうことは,容易に想像できます。

北隆館『フィールドウォッチング 1』(1990年)には,セイヨウタンポポとカントウタンポポの実の比較について,次のように書いてありました。

 セイヨウタンポポの冠毛つきの実100個の重さは40~ 50mg , これに対しカントウタンポポは冠毛つき100個の菫さは80~ 100mgでカントウタンポポの方が約2倍重くなっている。
 セイヨウタンポポの実1個(0.45g)とカントウタンポポの実1個(0.9g)を用い,それぞれlmの管の中を落下させて着地するまでの時間を測るとセイヨウタンポポ3.2秒,カントウタンポポ2.6秒となる。したがってセイヨウタンポポの方が軽くて遠くまで飛ばされる可能性が大きい。セイヨウタンポポは無配生殖なので1株でも結実するが在来のタンポポは有性生殖なので遠くへ飛んで落下しても結実できないためと考えられる。

[写真5]は,アカミタンポポの実。
アカミタンポポは,セイヨウタンポポと同じように外来種のタンポポです。
実が赤いためアカミタンポポの名がついています。

『朝日百科 植物の世界』(1997年)には,アカミタンポポについて次のように書いてありました。

セイヨウタンポポに似ているが,果実が赤く,総苞片の先に小さな角状突起がある点が異なる。ヨーロッパでは砂丘などの乾燥地に生育し,日本の都市部ではセイヨウタンポポより多くなりつつある。

  • [写真1]カンサイタンポポの実
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  • [写真2]左:セイヨウタンポポの実
    右:カンサイタンポポの実  »»拡大
  • [写真3]左:カンサイタンポポの実
    右:セイヨウタンポポの実  »»拡大
  • [写真4]カンサイタンポポの実
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  • [写真5]アカミタンポポの実
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  • [写真6]カンサイタンポポの未熟な実
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