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ヒメコウゾ

2011年5月6日
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ヒメコウゾの花が咲いています。
ヒメコウゾには雄しべだけを持つ雄花と,雌しべだけを持つ雌花があります。
雄花と雌花は,同じ株につく雌雄同株(しゆうどうしゅ)です。

[写真1]のように,今年のびた新しい枝の基部に,雄花が球形に集まった雄花序(ゆうかじょ)が,上部に雌花がこれも球形に集まった雌花序(しかじょ)がつきます。
雄花序は,蕾のときには,一見実のように見えますね。(初めて見た時には,これが実だと思っていました。)
雌花序はボールに長い毛がはえたような形をしています。
虫を惑わす美しい花弁や甘美な蜜など,虫を誘う要素が全くないのは,風媒花だからです。

雄花も雌花も小さくて構造がよくわかりませんが,『牧野新日本植物図鑑』(1970年)によると「おばなにはがく片4個,おしべ4個がある。めばなは2~4個の切れ込みのある筒状がく,有柄の1子房,糸状の花柱1個がある。」とあります。

[写真4]は,雌花序の断面。
ごちゃごちゃしていて,1個1個の花にある「2~4個の切れ込みのある筒状がく,有柄の1子房」は見わけがつきません。
[写真5]は,子房が膨らんだ雌花序の断面です(2008年6月1日)。

枝は手折ると,ぽきりと簡単に折れるのですが,樹皮がちぎれません,
無理やりに折りとろうとすると,ずるずると皮がむけて,切り離すことができません。[写真6]
手で引きちぎろうとしても,どうしてもできません。
あたらめてコウゾの樹皮の強靭さに驚きました。
コウゾは和紙の原料として有名ですが,綿の繊維が使われるまでは,衣料の原料としても大事なものだったそうです。

「コウゾ」の名は,和紙の原料とするための栽培種をさし,自生種は「ヒメコウゾ」というそうです。
平凡社『日本の野生植物 木本Ⅰ』(1999年)には,次のように書いてありました。

コウゾB. kazinoki x B. papyrifera(PL.107-1-2)は,カジノキとヒメコウゾの雑種で,カジノキに近いものとヒメコウゾに近いものとがある。栽培して和紙の原料とするのはカジノキに近いもので,葉の形はカジノキに似ていて雌雄異株であるが,若枝の毛は少なく,托葉は披針状長楕円形,葉の表面に点状毛があってざらつくが,カジノキのように短毛があってひどくざらつくことはない。ほとんど果実をつけない。ヒメコウゾに近いものは,葉の形はヒメコウゾによく似ていて雌雄同株であるが,若枝の毛が多く,葉柄は長さ1-2cmで長く,葉身は広卵形で幅が広く,裏面は毛が多く,花柱は長さ6-7mmでヒメコウゾより長いなど,カジノキの性質が入っている。人家近くの林中に見かける。

普通,植物の名の「ヒメ(姫)」は,よく似ているがそれより小さい場合に付けられます。
ヒメコウゾもコウゾよりも小さいため「ヒメ」の名がついているのでしょうが,もともとの自生種がヒメコウゾならば,雑種であるコウゾの方を「オニコウゾ」とでも呼べばよいように思えるのですが。

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