• ナラガシワの葉
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大きな落ち葉が落ちていました。
すこし光沢があり,丈夫そうな葉です。
あまりに大きな葉なので,つい拾い集めてしまいました。[写真1]
手に持って歩いていると,何か得したような気持ちになって,顔がゆるんできます。
不思議ですね,たかが落ち葉なのに。

拾った時には,カシワの葉だろうと思っていたのですが,家に帰って調べてみると,この葉はナラガシワのようです。
カシワの葉は,縁の鋸歯がもっと大きく波打つようになっています。
またカシワの葉は赤く紅葉し,秋になって枯れても,そのまま春まで枝に残ることが多いそうです。

平凡社『日本の野生植物 木本Ⅰ』(1999年)には,ナラガシワの葉について,次のように書いてありました。

葉は互生し,ふつう長さ1~3cmの柄があり,葉身は倒卵状長楕円形,先は鋭形,基部は広いくさび状,やや革質または厚い革質で,長さ12~30cmになり,縁には鈍頭または鋭頭の鋸歯がある。葉の表面ははじめ毛があるが,やがて無毛となる。葉の裏面ははじめ星状毛を密生するが,のちには中脈や側脈に毛を散生するだけで,灰白色となる。

保育社『検索入門 樹木1』(1995年)には,ナラガシワの葉の特徴として,次のように書いてありました。

1.コナラを大きくした形で,葉柄が長い
2.下面は星状毛を密生して灰白色
葉は10~25 × 5~13cm,やや革質,葉柄は1~3cm。アオナラガシワ f.pellucida(Bl.)koidz.は星状毛がほとんどない。雑木林にはえる高木で秋田県・岩手県以南に分布する。

「コナラを大きくした形」と書いてあります。
落ちていたナラガシワの葉は,大きさに随分ひらきがあり,大きなものは30cmもあるのに,小さなものは10cmほどしかありません。
大きな葉はコナラと間違えようがありませんが,小さな葉はコナラと同じくらいの大きさで,どちらも倒卵形をしていて,確かに似ています。
[写真2][写真3]の左側がコナラ,右側がナラガシワ。
[写真2]は上面,[写真3]は下面。

コナラの葉との大きな違いは,葉の縁にある鋸歯の形です。
ナラガシワの鋸歯の先端はまるくなっていますが,コナラの鋸歯はとがっています。
[写真4]の左側がナラガシワの鋸歯,右側がコナラの鋸歯です。
こうやって並べて比較すると,はっきりと違いますね。

ナラガシワとコナラはかなり近縁なのか,自然交雑もおこるようです。
平凡社『日本の野生植物 木本Ⅰ』(1999年)には,次のように書いてありました。

ホソバガシワQ.× nipponica Koidz. は,ナラガシワとカシワの雑種と推定され,両種の中間的特徴を有し,本州・四国・九州に見いだされている。他方,オオパコナラ Q.major Nakai は,ナラガシワとコナラの雑種と推定されるもので,多くの形質が両種の中間性を示し,本州・四国・九州で見つかっている。

  • [写真1]ナラガシワの落葉
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  • [写真2]コナラ(左)とナラガシワ(右)
    落葉(上面)  »»拡大
  • [写真3]コナラ(左)とナラガシワ(右)
    落葉(下面)  »»拡大
  • [写真4]ナラガシワ(左)とコナラ(右)の鋸歯  »»拡大