いつも通る道に,茶色くなった落ち葉がたくさん積もっていました。[写真1]
見上げると,空を覆った濃い緑色の葉から,時折りひらひらと落ちてきます。

落ち葉と言えば秋を連想しますが,常緑樹にとっては今が落葉の季節です。
何の葉でしょうか。
この辺りには,秋になると丸っこいドングリが落ちているので,カシのなかまだろうと思います。
青葉と落ち葉を拾って帰り,名前を調べてみました。

簡単にわかるだろうと思っていましたが,なかなか難しいです。
葉の表は濃い緑色で革質,裏は白っぽい。
葉の縁には鋸歯がある。
葉の先端はしっぽ状に突き出している。
図鑑を眺めて,候補としてあがったのは,シラカシ,ウラジロガシ,アラカシです。

図鑑によると,シラカシは狭長楕円形,ウラジロガシは長楕円状披針形,アラカシは倒卵状長楕円形。
シラカシ,ウラジロガシがほっそりしているのに対し,アラカシは横幅が少し広めという感じでしょうか。
葉の形には個体差があるので即断はできませんが,形としてはアラカシが近いようです。

3種とも葉の縁には鋸歯がありますが,シラカシ,ウラジロガシは葉の上部2/3に鋸歯があるのに対し,アラカシは葉の上半分にだけ鋸歯があります。
[写真2][写真3]を見ると,鋸歯があるのは葉の上半分だけです。
このことからも,この葉はアラカシのようです。

池田書店『葉っぱ・花・樹皮でわかる 樹木図鑑』(2007年)には,3種の葉の見分け方について次のように書いてありました。

シラカシ

葉身は狭長楕円形。やや革質で,長さ7~14cm,幅2.5~4cm

葉の先は鋭くとがる

葉の縁は,上部2/3にやや鋭く浅い鋸歯がまばらにある

葉の表は緑色で,光沢があり無毛

葉の裏は灰緑色。葉の裏ははじめ絹毛が散生するが,のちに無毛

葉の基部はくさび形

ウラジロガシ

葉身は長楕円状披針形。やや革質で,長さ9~15cm,幅2.5~4cm

葉の先は鋭くとがる

葉の縁は,上部2/3に浅くやや鋭い鋸歯がある

葉の表は光沢があり,濃緑色。葉の表ははじめやわらかい伏毛があるが,のちに無毛

葉の裏ははじめ黄褐色の絹毛が密生するが,のちにろう質を分泌して粉白色となる

基部は広いくさび形

アラカシ

葉身は倒卵状長楕円形。革質で,長さ7~12cm,幅3~5cm

葉の先は鋭くとがる

葉の縁は上半部にやや大きめの鋸歯がある

葉の表は濃緑色で,光沢がある。葉の表ははじめ軟毛が散生するが,のちに無毛となる

葉の裏は絹毛が密生し,灰白色となる

葉の基部は広いくさび形

[写真4]は,葉裏面を拡大したもの。
脈沿いに絹毛が密生しているのがわかります。