色々なところにキノコが出ています。
南禅寺参道の苔むした地面にススケヤマドリタケが,街路樹のサクラの根際にナラタケモドキが,マツの切り株にハナビラタケが,カエデの根もとにはヤナギマツタケが生えていました。
いずれも食用になり,毎年同じ場所に顔を出すキノコです。

以前は毒のないキノコなら,何でも食べてみないと気がすまない時期があったのですが,この頃はあまり野生のキノコを食べなくなりました。
野生のものには,キノコにしろ野草にしろ,栽培したものとは違うおいしさと,自分で見つけて採取したという満足感があるのですが,それを食べることにはそれなりのリスクがあることを感じるようになったせいかもしれません。

キノコに限らず,野生の植物には意外に猛毒のものが多く,間違って食べると取り返しのつかない事態になること。
キノコが生えるような弱った木には薬剤散布されている可能性があることや,土壌汚染もありうること。
2004年におきたスギヒラタケ中毒事件では,それまで長いあいだ食用として親しまれてきたキノコに,場合によっては死亡に至るほどの毒性があることが新たに発見されたこと。
など,店頭に安全でおいしい多様なキノコが並んでいることを考え合わせると,あえて野生のキノコを食べる意欲は減少しています。

しかし「食べる」という動機が薄れると,キノコに対する関心も薄れるものですね。
この自然観察日記に取り上げるキノコの記事も,年ごとに減ってきています。