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セスジスカシバ

2012年9月17日

クズの葉に,スズメバチそっくりのスカシバガがとまっていました。[写真1][写真2]
カメラをすぐそばまで近づけても,じっとして逃げません。

細長い体に薄い翅,黒色に黄色い縞模様の腹部,ほんとうにスズメバチによく似ています。
似ているといっても,やはり鱗翅類なので,ハチ類の持つような精悍なシャープさはありませんが。
この姿に進化して生き延びているということは,天敵をあざむく効果は十分にあるようです。

平凡社『日本動物大百科 第10巻 昆虫Ⅱ』(1997年)には,スカシバガの擬態について次のように書いてありました。

 前後翅が細く透明であることや腹部が太く,たいへん目立つ赤,黄色,橙黄色などの縞(しま)模様があって,姿が一見ハチに似ているだけでなく,行動までもがとてもよく似ている。おそらく防御手段をもたないスカシバガ類は,捕食者にとって有毒なハチをモデルとして,その警告色に擬態しているものと思われる。
 コスカシバやヒトスジコスカシバなどは,腹部に1~3本の黄色の細い帯がありトックリパチ類やジガバチ類に,腹部に太い赤帯があるアカオビスカシバやフクズミスカシバはアカオピケラトリバチやモンキクキバチによく似ている。また腹部に黄色や橙黄色の太い帯があるブドウスカシバ,ムラサキスカシバ,ハチマガイスカシバなどはドロバチ類にそっくりである。黄色や橙色と黒の縞模様の帯がある大型のセスジスカシバ,クビアカスカシバ,キタスカシバなどはスズメバチ類そのものといった感がある。またオオモモブトスカシバやモモブトスカシバは重量感のある太い虫体とともに,後ろあしの脛(けい)節が長い毛でふくらんでいるところまでがマルハナバチ類に擬態している。

くわしく名前を調べようとしましたが,ガの図鑑によいものがありません。
図書館に『日本産蛾類標準図鑑1,2』(学研 2011年)という,良さそうな図鑑があったのですが,スカシバガは掲載されていませんでした。

第1巻に掲載されているのは,「マクロレピドプテラの中から,イカリモンガ上科,カギバガ上科,シャクガ上科,カレハガ上科,カイコガ上科。
第2巻に掲載されているのは,「マクロレピドプテラの中から,シャチホコガ科,ヒトリガ亜科,ヤガ科のカトカラ属などの,ヤガ上科」。
「マクロレピドプテラ」とは大型鱗翅類のことで,小形鱗翅類については,続刊として出版予定のようです。
早く出してほしいものです。

図鑑がないので,ネット上の「みんなで作る日本産蛾類図鑑」というサイトで,調べました。
どうやら本種は「セスジスカシバ本州以南亜種」の♀のようです。

[写真1][写真2]を見ていて気づいたのですが,左右の中肢を上げていますよね。
同サイトの写真を見ても,みんな中肢を上げているので,セスジスカシバにはそういう習性があるようです。
中肢を上げたからといって,よりスズメバチに似るということはないと思うのですが,意図がわかりません。

[写真5]は,2004年に取り上げた,今回のものとよく似ているスカシバガです。(→2004年9月12日
記事の中で「ヒメアトスカシバ?」としていますが,よく見ると,セスジスカシバの♂のようです。

[写真6]は,2007年に取り上げたムナブトスカシバガ。(→2007年7月22日
こちらは左右の前肢を上げています。

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