クズの葉に,白黒ツートンカラーのゾウムシがいました。[写真1]
オジロアシナガゾウムシです。
葉の上を,うろうろと歩き回っています。

黒い体に白いまだら模様は,鳥の糞への擬態です。
白い部分は,よく見ると,白い毛が生えているのですね。
黒い部分も凸凹としていて,白と黒の混ざり具合といい,絶妙の質感です。

オジロアシナガゾウムシを見かけるのは,たいていクズの葉や茎の上です。
たまたま通りがかった訳ではなく,その生態はクズと密接な関係があるようです。
保育社『原色日本甲虫図鑑 4』(1984年)には,

クズの茎にらせん状の傷をつけて産卵し,その部分は虫えいになる。

と書いてありました。
成虫も幼虫も,クズの葉を食べるので,一生をクズという大量の食糧に囲まれて過ごしていることになります。
これだけ条件が良ければ大量発生しそうですが,そうならないのは何らかの抑制圧があるのでしょう。

北隆館『新訂 原色昆虫大図鑑 甲虫篇』(2007年)には,オジロアシナガゾウムシについて,次のように書いてありました。

体長6m内外。黒色,前胸背両側・上翅後半(翅端を除く) ・胸下面は羽毛状の白色鱗毛を密生する。頭は両眼間で深く凹む。吻は弱く点刻され前方では細かく,胸背は粗い顆粒を密布し,前縁のみ点刻がある。上翅はきわめて粗い点刻列があり,点刻内に細い縦隆を含み,間室は細く小点刻を具え,腿節下面には鋭歯がある。

[写真5]を見ると,「吻は弱く点刻され」ているのがわかります。
「腿節下面には鋭歯がある」とは,[写真6]の円で示した部分だと思います。