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オオシロカネグモ

2012年9月27日

家の裏口に,いつの間にかクモの巣が張られていました。
普段使わないところなので,クモも人が通るとは思わなかったようです。
しかたなく網を壊すと,1匹のクモが壁の方に避難してきました。[写真1][写真2]
長い肢が緑色をしていて,白いきらきらした腹部に,3本の黒い縦じまが目立ちます。

調べてみると,このクモはオオシロカネグモのようです。
過去にも,2004年に日向神社で見つけています。(→2004年10月7日
記事の中で「オオシロガネグモの雄?」としていますが,触肢の先を見るとふくらんでいないので,雄ではなく雌ですね。
また正式和名は「オオシロガネグモ」ではなく「オオシロカネグモ」でした。

新海栄一著『日本のクモ』(2006年)には,オオシロカネグモについて次のように書いてありました。

体長:♀13~15mm ♂8~12mm
出現期:7~9月
主に里山~山地に生息。河川,池や沼の周辺,林道,渓流上などの樹間に大型の水平円網を張る。網は渓流上をわたって張られていることも多い。クモは網の中心で獲物を待つ。銀色の腹部に褐色の3条を持った美しいクモで,刺激を与えると3本の褐色条が太くなる。

刺激を与えると,腹の縦じまが太くなるということです。
[写真2]の状態は縦じまが太くなっている状態だと思われます。
(平常時の体色を写そうと何度か試みましたが,とても敏感で,近寄るだけで網から逃げ出してしまうため,写すことができませんでした。)

小野展嗣著『日本産クモ類』(2009年)には,シロカネグモ属について次のように書いてありました。

開こしきの水平円網を張る。第4脚腿節に10対以上の2列に並んだ聴毛がある。腹部背面はうろこ状の銀斑に被われていて安静時にはほぼ全面が銀色であるが,刺激を受けると銀斑は収縮し体色が暗くなる。

「開こしき」とは「open hub」の翻訳語で,円網の中心部に穴があいているものをいいます。
「第4脚腿節に10対以上の2列に並んだ聴毛がある」のは,アシナガグモ科の属検索表にも,シロカネグモ属の識別点としてあがっています。[写真4]
腹部背面はうろこ状の銀斑に被われていて,「刺激を受けると銀斑は収縮し体色が暗くなる」と書いてあります。
オオシロカネグモの腹部の模様が刺激を受けると太くなる仕組みは,これだと思います。

シロカネグモ属のチュウガタシロカネグモ,オオシロカネグモ,コシロカネグモ,トガリシロカネグモは互いによく似ていて,同書には区別点がいくつかあげられています。
その中の一つ,外雌器の違いについて次のように書いてありました。

外雌器においては次のような違いがある。チュウガタシロカネグモでは前方にハの字型のはっきりとした段差があるが(図37棒線部),コシロカネグモではこのような段差はない。オオシロカネグモとトガリシロカネグモでも前方にはっきりとした段差がある(図39, 43棒線部)が,段差は中央で途切れずに連続している。トガリシロカネグモでは段差の前方に半透明の部分がある(図43破線部)がオオシロカネグモではそのような半透明の部分はない。
オオシロカネグモ

外雌器とは,雌の生殖器で,腹部下面にあります。
[写真5]の外雌器の形状は,上記のオオシロカネグモのものと一致します。

今の時期,あちらこちらでジョロウグモが目立ちます。
コガネグモやオニグモが数を減らしているのに対して,ジョロウグモだけが増えているというのは,どういう訳なのでしょうね。

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