疏水の水面に突き出した石,その場所がお気に入りなのか,ゴイサギがよくとまっています。[写真1]~[写真4]
「ホシゴイ」と呼ばれる,ゴイサギの若鳥です。

「ホシゴイ」の名は,褐色の体に白い斑点が星のように散らばっていることからきています。
成鳥は頭と背中が黒く,翼と尾が灰色,頭に白い冠羽があります。[写真5]
若鳥(幼鳥)と成鳥とでは,体の色が随分違いますね。
生活力の弱い幼鳥・若鳥のあいだは,できるだけ地味な体色で周囲の環境に溶け込ませる戦術なのでしょうか。

『山渓カラー名鑑 日本の野鳥』(1996年)には,ゴイサギの見分け方について,次のように書いてありました。

成鳥では,頭上から背は黒く,白い冠羽があり,翼と尾は灰色。幼鳥と若鳥は,全身白っぽい斑点のある褐色で,ホシゴイと呼ばれる。繁殖期の一時期,脚全体が赤くなる。

「幼鳥と若鳥」には白い斑点があると書いてありますが,幼鳥と若鳥はどう違うのでしょうか。
『小学館のフィールド・ガイドシリーズ 日本の野鳥』(1989年)の用語解説には,次のように書いてあります。

(ひな)
卵からかえって,幼羽(ようう)が生えそろうまでの段階をいう。
幼鳥(ようちょう)
幼羽が生えそろった時から,第1回の喚羽までの段階。この喚羽は,多くの種で,誕生年の秋に見られ,体格は成鳥と同じまでに成鳥している。
若鳥(わかどり)
幼鳥から成鳥に至る段階。この段階のない鳥も多いが,一般に大型の鳥はこの段階がある。
成鳥(せいちょう)
鳥が成長して羽色の変化がそれ以上起こらないまでに達した段階。多くは成鳥の羽になってから繁殖を行う。

ゴイサギの産卵期間は4~8月,抱卵日数は21日位,巣立ちまでの日数は28日位なので,巣立ちの時期は6~10月となります。
巣の中にいる時が「雛」で,巣立ちの時点で「幼鳥」です。
それから第1回の喚羽までが「幼鳥」の期間ですが,ゴイサギの場合,第1回の喚羽はいつになるのでしょうか。

上記に「この喚羽は,多くの種で,誕生年の秋に見られ」と書いてあるように,ゴイサギもその年の秋に喚羽して第1回冬羽になるようです。
そうすると冬に見かけるホシゴイは幼鳥ではなく若鳥ということになります。

ゴイサギが成鳥になるには3年かかるそうです。