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コヤマトンボの羽化殻

2013年7月15日

動物園南の疏水岸で見つけたトンボの羽化殻。[写真1]
羽化してから数日たっているらしく,少し壊れかけています。
幼虫の検索図鑑で同定してみました。

東海大学出版会『日本産トンボ幼虫・成虫検索図説』(1988年)によると,
①まず尾端の形状で亜目を分けます。
「体が太く,尾端に尾毛を含む尾部付属器がある」ものは「不均翅亜目」。[写真3]
→不均翅亜目

②次に触角とふ節の形状で,サナエトンボ科とそれ以外を分けます。
「触角は4節で,第3節が大きい。前肢と中肢のふ節は2節」ならば,サナエトンボ科になります。
[写真4]を見ると「前肢と中肢のふ節は3節」。
[写真5]を見ると,触角は「6~7節でひも状」。
→サナエトンボ科ではない

③次に下唇鰓(かしんさい)の形状で,科を分けます。
[写真7]を見ると,「下唇鰓はサジ状で頭部覆面を仮面状におお」っている。
→オニヤンマ科か,トンボ科か,エゾトンボ科

④「鰓は大きい歯とかぎ状突起がある。体は縦長,毛の環」があれば,オニヤンマ科ですが,体の幅は広いのでオニヤンマ科でないことははっきりしています。
→トンボ科か,エゾトンボ科

⑤「後肢の腿節は頭幅より長い。鰓の歯は明瞭」ならば,エゾトンボ科です。
→エゾトンボ科

⑥次に,エゾトンボ科の検索に進み,第1段階でオオヤマトンボとそれ以外に分かれます。
「腮側片に6個の大きな歯がある。腮側刺毛と腮刺毛がない。複眼は前側方に突出する」ならば,オオヤマトンボ。
[写真7][写真8]を見ると,腮側刺毛と腮刺毛はない。
[写真5]を見ると,複眼は前側方に突出しているように見える。
→オオヤマトンボ

と結論付けたのですが,どうも違うようです。
形は似ているのですが,大きさが違いすぎるのです。
オオヤマトンボのヤゴは,体長35~43mm,頭幅8~10mm。
この羽化殻は体長27mm,頭幅8mm。
個体差にしては大きすぎます。

ミナミヤンマ・クラブ『近畿のトンボ図鑑 』(2009年)で探してみました。
この図鑑には,近畿で見られるトンボのヤゴが一覧になって載っています。
原寸大(小さいものは2倍,4倍)の写真が並んでいるので,ページの上に羽化殻を置いて見比べることができます。
オオヤマトンボは明らかに大きさが違います。
大きさ,形からするとコヤマトンボが有力な候補です。

ネットでコヤマトンボの羽化殻を検索して,いろいろと見比べてみると,コヤマトンボで間違いないようです。

どこで間違ったのでしょうか。
コヤマトンボはエゾトンボ科なので,⑤の段階までは間違っていません。
⑥の「腮側刺毛と腮刺毛」が有るか無いかで誤りました。
コヤマトンボのヤゴには「腮側刺毛と腮刺毛」が有るのですが,この羽化殻では取れて無くなってしまっているようです。

あまりに羽化殻が精緻にできているものだから,終齢幼虫と羽化殻は完全に一致するものと思いこんでいました。
羽化殻に新たに毛が加わるということはないにしても,毛が欠けるということは当然ありうることです。
また終齢幼虫では平行に生えていた翅芽(しが)も,羽化殻では八の字に開いています。

結局,検索図鑑よりは,一覧になった図鑑で絵合わせする方が早かったですね。
絵合わせで大体の見当をつけて,ネット上にある豊富な写真で確認するというのが,素人にはやりやすいようです。

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