朝,道の端に褐色の大きなカミキリムシがいました。[写真1]
カミキリムシはせわしなく動き回るものが多いのですが,このカミキリムシはどういう訳かあまり動きません。
産卵管を伸ばしているので,産卵疲れかなと思っていました。

図鑑で調べると,名前はウスバカミキリ。
名前の通り「薄羽」で,他のカミキリムシに比べて翅が薄く,かざすと透けている感じがします。[写真2]
解説に「夜行性で燈火に飛来する」とあります。
動きが鈍かったのは,夜行性だからだったのかもしれません。
小さなポリ袋に入れて机の上に置いていたところ,昼間はおとなしくしていたのですが,夜の間に袋を食い破って逃げ出していました。
(でも運のないカミキリです。逃走が発覚する前に,朝一番に私に発見されています。隣の部屋のカーテンを開けた時に,窓にとまっていたのです。)

北隆館『新訂 原色昆虫大図鑑 第2巻』甲虫篇(2007年)には,ウスバカミキリについて次のように書いてありました。

体長30~55mm。体は暗褐色ないし暗赤褐色,♂の上辺は茶褐色,♂♀ともに上辺の会合線および側線はより暗色を帯びる。触角は内側下面に辺毛を欠き,第3節は第4・5節の和よりやや長い。前胸背側緑に棘状突起を欠き,前基節孔は前胸背側線の隆起線に接している。産卵管は辺端よりはるかに突出し,長さは第2~5腹板の和にほぼ等しい。

・体長30~55mm
日本産のカミキリムシのなかでも,かなり大型の部類に属します。
世界最大のカミキリムシであるタイタンオオウスバカミキリと同じなかまです。
この個体は,体長44mmでした。

・触角は内側下面に辺毛を欠き,第3節は第4・5節の和よりやや長い
[写真7]

・前胸背側緑に棘状突起を欠く
[写真3]

・前基節孔は前胸背側線の隆起線に接している
[写真5]

・産卵管は辺端よりはるかに突出し,長さは第2~5腹板の和にほぼ等しい
[写真6]
産卵管は普段は腹部に引き込められているものが多いのですが,ウスバカミキリは常時突出しているようです。