道の真ん中で,裏返しになったオニヤンマが翅をふるわせていました。[写真1]
寿命のようです。
手にとると,日本最大種だけあって,さすがに大きくてがっしりしています。

お腹のつけ根に副性器があるので,♂です。
昨年(→2012年7月26日)撮った♀の写真と比較してみました。[写真8]
右側の♀には副性器がないので,つるんとしています。

トンボの♂と♀では,副性器の有無のほかに,尾端の形状も異なります。
♂の尾端には交尾時に♀をつかむための上付属器(じょうふぞくき)と下付属器(かふぞくき)があり,♀には産卵弁(もしくは産卵管)と尾毛(びもう)があります。[写真9]
特にオニヤンマの産卵弁は大きく,腹端を越えています。

北海道大学図書刊行会『原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑 』(1999年)には,オニヤンマについて次のように書いてありました。

腹長♂59~76mm,♀75~86mm(産卵器官の先端まで)。後翅長♂48~58mm, ♀54~66mm。

→本個体は,腹長72mm,後翅長55mmでした。[写真2]

 体色は黒色の地に黄色い条斑がある。 ♂♀でほとんど差がなく,成熟してもあまりかわらない。頭部は顔面が黒く,前額頂と後額片に黄色条がある。上唇に2個の大きな黄色斑があって,大顎の基部前面が黄色。複眼は未熟なうちは灰褐色をしているが,成熟すると光沢の強い深緑色となる。胸部は翅胸前面が黒く,背隆線の両側に1対の太い八の字形条がある。前肩条および襟条はない。胸側は中胸後側板と後胸後側板に2本の太い黄色条があって,ちょうどミナミヤンマ属の斑紋をひとまわり前へずらした位置が黄色い。翅はほぼ無色透明。しばしば翅端にごくわずか褐色斑が発現する。♀はごく薄く黄色みをおびることが多く,特に未熟個体では基部が淡い橙黄色で,前縁ぞいが淡橙褐色にけぶる傾向がある。翅脈・縁紋とも黒い。肢は黒い。腹部は黒く,第2~8節のやや前寄りにそれぞれ太い黄色環状斑があるが,第2節のもの以外は背面中央でわずかに切れている。 ♂の尾部上付属器は黒くてやや上反りした棒状で,基部近くの下面に2個の棘がある。 ♀では第9 ・ 10節が小さくて表面があまりキチン化せず柔らかい。産卵弁は太い針状で長く後方にのび,その先端が数mmほど腹端をこす。

・頭部は顔面が黒く,前額頂と後額片に黄色条がある。
→[写真5]

・上唇に2個の大きな黄色斑があって,大顎の基部前面が黄色。
→[写真5]

・複眼は未熟なうちは灰褐色をしているが,成熟すると光沢の強い深緑色となる。
→本個体の複眼は深緑色をしているので成熟個体です。[写真5]

・胸部は翅胸前面が黒く,背隆線の両側に1対の太い八の字形条がある。
前肩条および襟条はない。

→[写真6]

・胸側は中胸後側板と後胸後側板に2本の太い黄色条
→[写真7]

・翅はほぼ無色透明。しばしば翅端にごくわずか褐色斑が発現する。
→[写真2][写真3]

・肢は黒い
→[写真2]

・腹部は黒く,第2~8節のやや前寄りにそれぞれ太い黄色環状斑があるが,第2節のもの以外は背面中央でわずかに切れている
→[写真2][写真3]

・ ♂の尾部上付属器は黒くてやや上反りした棒状で,基部近くの下面に2個の棘がある
→[写真10]