ノブドウの房のなかに,他のものよりは二まわりほど大きな粒がありました。[写真1]
虫こぶに違いないと思い,わくわくしながら半分に切ってみました。
しかし今回も虫こぶではなく,正常な種が入っている普通の実でした。[写真2]

前(→2013年10月7日)にも書きましたが,ノブドウの果実にはノブドウタマバエなどの幼虫が寄生して虫こぶになるものが多いそうです。
ところが,近所に生っているノブドウの実には虫こぶが見当たらないのです。
大きな実があれば度々中を見ているものの,虫こぶに当たりません。

実を80個集めて,中を確認してみました。
[写真3][写真4]は,集めた実の外観。
径は6mm~9mm,色は白,青,紫,紅赤とカラフルです。
紅赤色の実は硬くて,まだ未熟でした。

[写真5]は,半分に切った断面です。
全てに種ができており,虫こぶになっているものはありません。
(種子を切ってみると,中が茶色くなっているものが多くあります。[写真6]
何らかの虫が食害しているようですが,虫こぶではありません。)

『朝日百科 植物の世界』(1997年)に書いてあった

これは果実にブドウタマバエなどの幼虫が寄生したためにできた虫こぶで,寄生していない果実はほとんど見られない。

というのは,どうなったのでしょうか。
『牧野新日本植物図鑑』(1961年)にも,ノブドウの実について次のように書いてあります。

液果は小さい球形であるがむしろまれで,普通は昆虫が入った虫えいとなり,不規則にゆがんだ球形で白,紫,青色になり食べられない。

ノブドウタマバエに寄生されていないというのは,地域的な要因なのでしょうか。
それとも全国的な最近の傾向?