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テングチョウ

2013年11月7日

動物園の塀にテングチョウがとまっていました。[写真1]
こう見ると,木の葉そっくりですね。[写真2]
肢脈が葉脈のように見えます。
前翅から後翅へと,肢脈が1本の線のように連続しているのが不思議です。
天狗蝶の名前の由来となっている長い下唇鬚(かしんしゅ)と,揃えられた触角も葉柄のようです。

翅の表面[写真3]と裏面[写真4]の模様を見ると,枯葉模様なのは下翅裏面と上翅裏面の上部先端だけです。
これだけで木の葉そっくりになってしまうのですね。

しかし,せっかくのカムフラージュも白い塀の上では,かえってよく目立ちます。
[写真8]は同じように木の葉に擬態していたガたちです。
いずれも動物園の塀にとまっていました。
[写真8]左側がアカエグリバ(→2010/9/17),右側がアケビコノハ(→2009/12/18)。

3種とも緑色の木の葉ではなく,褐色の枯葉に擬態していますね。
3種とも基本的に成虫で越冬すことと関係があるようです。
冬場に周りの環境に溶け込むには,青々とした木の葉ではなく,枯葉である必要があるということでしょう。

学研『日本産蝶類標準図鑑』(2006年)に,テングチョウの♂♀の識別法が載っていました。

色彩斑紋は♂♀で大差はないが,♀は翅表橙斑が♂より大きく,前翅第1b室および後翅第6室に小橙斑をあらわすことが多く,ときに後翅第7室にも微小橙斑をあらわすことがある。後翅裏面の色彩と枯れ葉模様も♂♀によって一般に異なり,♂は地色が赤味をおびず雲状斑が日立つが,♀では赤味をおびて中央の暗色条のみ顕著で,雲状斑がきわめて不明瞭になる場合が多い。以上の特徴によって熟練すれば翅斑のみで♂♀は判別できる場合が多いが,♂の前脚は長毛が密生し,♀には長毛がなくほとんど裸出しているのでこの特徴によって♂♀を識別するのが安全である。

この個体はどちらでしょうか。
・♀は「前翅第1b室および後翅第6室に小橙斑をあらわすことが多」い
ということは,♂なら少なくとも「前翅第1b室および後翅第6室に小橙斑」はない。
翅脈と翅脈の間を翅室といいます。
前翅第1b室と後翅第6室は[写真3]の箇所になると思います(多分)。
橙斑はありません。

♂の前脚は長毛が密生し,♀には長毛がなくほとんど裸出している
前脚を見てみると,毛が生えています。[写真7]

したがって,この個体は♂ということになります。

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