家人が花を生けていました。[写真1]
今の時期,ウメの花かと思いましたが,サクラの花です。
細い枝に,まだ完全に開花していないものの,白い小さな花をたくさんつけています。

何という種類のサクラでしょうか。
聞くと,サクラとしか覚えていなくて,たしか名前の最初に「ア」がついた長い名前だったような,という頼りない返事です。

ネットで色々調べましたが,「ア」のつくサクラで該当しそうなものがありません。
今の時期に花材として出回っているサクラとしては,「ケイオウザクラ」が該当しそうな気がします。
しかし,名前に「ア」がついていませんね。

お店に行って確認してみると,ラベルには「啓翁桜」とありました。
(「名前の最初に「ア」がついた長い名前」は何だったのか不明です)

山と渓谷社『新日本の桜』(2007年)には,ケイオウザクラ〈啓翁桜〉について次のように書いてありました。

 このサクラは苗木販売の段階で和名が混乱した。国立遺伝学研究所の「遺伝研の桜」 (1989年)によると,福岡県久留米市でシナミザクラを台木にしてコヒガンザクラを接ぎ木してできた枝変わりに,花卉研究家の弥永太郎が作出者の吉永啓太郎の名をとって,ケイタロウザクラ(啓太郎桜)と命名し,切り花用の品種として啓翁桜の名で知られるようになった。一方,兵庫県宝塚市で啓太郎桜の実生から選抜した品種がつくられ,これは吉永啓太郎を敬う意味のケイオウザクラ(敬翁桜)の名で販売された。
 宝塚市で作出された敬翁桜は,トウカイザクラ(東海桜)やガクナンザクラ(岳南桜)などの名でも広まったため,名称が混乱してしまった。なお,外国の種苗カタログにみられる‘Wadai’は,横浜の和田弘一郎にちなむもので,山形県などで切り花用として栽培されているケイオウザクラとともに,敬翁桜と同じものといわれている。
 啓翁桜と敬翁桜の顕著な相異点は,樹形が啓翁桜は球状,敬翁桜はほうき状になることである。

ネットで調べてみても「啓翁桜」と「敬翁桜」はとてもややこしいことになっています。
あまり深く追及しないことにしました。