アオサギの写真を撮っていたら,偶然尿を排出している瞬間が写っていました。[写真2][写真3]
ン? でもこれは糞かな?
どろっとした液体は,尿のようにも糞のようにも見えます。
どちらなんでしょうか。

調べてみると,鳥は尿と糞を一緒にするようです。
鳥も哺乳類と同じように,糞と尿は別々の器官で産生するのですが,排出する時には一緒に混ぜ合わせて排出します。

フランク・B.ギル『鳥類学』(2009年)には,次のように書いてありました。

腎臓で産生された尿は,必要に応じ水を追加吸収する腸の下部で,糞と混ぜ合わされる。

哺乳類も鳥もタンパク質を分解するとアンモニアができます。
アンモニアは体に有害なので,哺乳類は体に害のない尿素というかたちに変え,水に溶かして膀胱に蓄えています。
しかし鳥は飛ぶために特化した体をしているため,余分な水分を蓄えておく膀胱がありません。
そのため鳥はアンモニアを水に溶けない尿酸に変えて排出しています。
鳥の尿が白っぽいのは,水と混ざり合った尿酸の結晶が乱反射して白く見えているのですね。

 鳥類が水を効率的に利用するためのもっとも特徴的な生理的適応は,窒素廃棄物を白く光る尿酸として排出することである。この能力は,爬虫類に属する鳥類の祖先種ももっていたことから,尿酸の排出は祖竜類の進化の歴史において早期に獲得されたと考えられる。体構造を維持するためにタンパク質を置き換えたとき,蓄積すると毒性を示す窒素生成物が産生される。哺乳類は尿素溶液として窒素を排出するために,大量の水で流す。鳥類は,そのかわりに尿素分子の2倍の窒素をふくむ尿酸分子を半固体の懸濁物として排出する。これにより,鳥類は370mlの窒素を尿酸として排出するために0.5~1.0mlの水しか必要としない。一方,哺乳類が同量の窒素を尿素として排出するには20mlの水を必要とする。また,鳥類は排出直前の排壮腔で尿酸を血中濃度の3000倍という驚くべき濃度に濃縮することができる。哺乳類の場合,もっとも効率的に水分を利用するカンガルーネズミでさえ,血中濃度の20~3Q倍にしか尿素を濃縮できない。

鳥は飛び立つ時に,体を軽くするために糞をするそうです。
そういえばこの時も,糞をした直後に飛び立ちました。[写真6]