昼ごろに,アオスジアゲハの蛹が羽化しているのに気付きました。
朝方に見たときには変化はないように見えたのですが。
(そういえば,この数日全体的に白っぽくなっていたような気がします。)

この蛹は3月23日に植栽のツツジの枝に付いていたものです。
付近を見回すと,クスノキの大きな枝が塀をのり越えて張り出していました。
アオスジアゲハの幼虫はクスノキを食草としているので,幼虫はこのクスノキから移動してきて蛹化したようです。
(誰かが引きはがしたらしく,枝にぶら下がった状態になっていたので[写真6],接着剤で枝に固定しました[写真3]。)

羽化殻を縦に切って,中を見てみました。[写真4]
たくさんの黒い鱗粉が散らばって付いています。
羽化する時には,翅を縮こまらせて,するっと出てくるのですが,意外と鱗粉が付いているものです。
10年前に羽化した時の連続写真

腹部には,白い糸のような,気管の脱皮殻が並んでいます。[写真5]
これはトンボの脱皮殻にも見られるものです。(→サイエンスポータルのサイトに,走査型電子顕微鏡で見たアオスジアゲハの翅について次のように書いてありました。

西日本ではありふれたチョウの一種である「アオスジアゲハ」の翅の表側は、大部分が撥水機能をもつ「鱗粉(りんぷん)」で覆(おお)われているが、青色の模様部分には鱗粉がなく、細い毛がある。毛と毛の間は細密な凸凹(でこぼこ)で、鱗粉と構造が似ている。2万倍に拡大すると、高さ1-0.2μmくらいの突起が集中している。これは鱗分の撥水機能を肩代わりしている可能性がある。

裏面には鱗粉と毛が交互にあり、鱗粉のあるところは、翅の色に関わらず、たくさんの筋の間を橋のように網目構造がつないでいる。鱗粉に覆われた黒い部分の下地には、多少脈状の凸凹があるが、撥水になるほどではなく、比較的なめらかである。この蝶の翅は青と黒の単純な模様に見えるが、表面と裏面で変化に富む構造だ。