朝,ランニングから帰ってくると,家の前の道にカエルがつぶれていました。
車にひかれたようです。
カエルにとっても,理不尽な死に違いありません。
開かれたままの眼が,何故だと問うているようです。

緑色の体色に暗褐色の不規則な斑紋は,モリアオガエルです。
体長は6cmほど。
アオガエルは♂と♀とでは体の大きさがかなり違い,♂の成体の体長は平均57mm,♀は平均72mmだそうです。
大きさからすると,この個体は♂でしょうか。

文一総合出版『改訂版 日本カエル図鑑』(1999年)にモリアオガエルの「二次性徴」として,次のように書いてありました。

成体の体長は♂で42~60 (平均57) mm, ♀で59~82 (平均72) mmで, ♀は♂よりも著しく大きい。♂は咽頭下に単一の鳴嚢をもつ。鳴嚢孔は1対の長いスリット状で,顎関節内側から下顎中央にかけて斜向する。♂の婚姻瘤は灰黄色の顆粒からなり,前肢第1指の背側で基部から,吸盤基部にかけて発達し,第2指背側の一部にも発達する。他のアオガエル類同様,第1指内側の中手部はやや偏平だが,その程度は♀で強い。

モリアオガエルは,珍しい貴重なカエルというイメージが定着していますが,それほど珍しいカエルではないようです。
平凡社『日本動物大百科5 両生類・爬虫類・軟骨魚類』(1996年)には,次のように書いてありました。

 一般に,ぞんざいに扱われることが多いカエルのなかで,モリアオガエルだけは珍しい貴重なカエルとして丁重に扱われている。ほかのカエルのひがみを代弁するわけではないが,モリアオガエルは一般に考えられているほど珍しいカエルではない。茨城県を除く本州のすべての県で分布が確認されており,生息数もほかのカエルと比較して極端に少ないわけではないようである。モリアオガエルが保護される理由は,このカエルが樹上で産卵するというほかの本州産のカエルには見られない繁殖特性をもっているからである。樹木の枝先にぶら下がった綿菓子のような白い卵塊(らんかい)のおかげで,日本の各地で天然記念物に指定されて大切に保護されている。
 モリアオガエルは,日本の特産種で,その名が示すようにアオガエル科のカエルである。約190種いるこの科のなかでも,カジカガエルやシュレーゲルアオガエルと並んで,もっとも北に分布している種である。九州や四国には生息せず,広く分布する本州でも,太平洋側に少なく,雪の多い日本海側に多い傾向にある。また垂直分布でも平地に少なく山地に多いようで,中部地方では2000mを超える場所でも産卵が確認されている。こうした山地に分布することが,ふだん見かけない=珍しい,というイメージをもたらしたのかもしれない。

近所で繁殖しているモリアオガエルについて→ 2011年6月24日