南禅寺の境内にいたカラスの翼に,白い羽根が混じっているのに気付きました。
左右対称に,風切羽の一部が白くなっています。[写真2]
これもアルビノの一種の部分白化なのでしょうか。

翼の一部が白くなっているカラスについては,以前にも書いています。[写真7](→2007/2/12,→2006/12/6
その時のカラスもハシボソガラスでしたが,今回もハシボソガラスです。

このあたりでは,ハシボソガラスとハシブトガラスの両方を見かけます。
しかしハシブトガラスよりは,ハシボソガラスのいる範囲は限られています。
ハシボソガラスは,開けた空間のある岡崎公園や,南禅寺のあたりでは見かけますが,九条山の周辺では見かけません。
岡崎公園にいるカラスでも,ごみ箱をあさっているのはハシブトガラスです。

松原始著『カラスの教科書』(2013年)には,ハシボソガラスとハシブトガラスの違いについて次のように書いてありました。

ハシブトガラスのくちばしは長く太くアーチ状になっている。さらに「額」に相当する部分が盛り上がっているのが外見上の特徴だが,実は羽毛を立てているだけで骨は平らである。ヘアスタイルで言えば,リーゼントとまでは言わないが,ちょっと立て気味に後ろへ流した感じ。ペタンと寝かせてしまうと誰だかわからなくなる。

ハシボソガラスは全長50センチあるかないかで,平均するとハシブトガラスよりも一回り小さい。(中略)くちばしはハシブトガラスのように曲がってはおらず,ストレートな形をしている。頭もごく普通に鳥っぼい形だ。なお,「額」もぺたんと平らだが,怒ると羽毛を逆立てることがあり,この時は頭がまん丸に見える。

[写真8]はハシブトガラスの横顔。(→2012/3/18
[写真6]と見比べると,くちばしや「額」の形の違いがよくわかります。

このように似ているようでちょこちょこ違う2種だが,一番違うのは鳴く時である。ハシブトガラスは「カア,カア」とごく普通の「カラスの声」で鳴く。一方,ハシボソガラスは「ガー,ゴアー」としゃがれ声で鳴く。ただし,ハシブトガラスの音声は非常に多彩で,怒ったときなど「ガラララ・・・・・・」とハスキーな声を出すこともあるから要注意だ。ハシボソガラスが「カア」と鳴くことはない。

確実に見分けがつくのは鳴くときの姿勢である。ハシブトガラスは体を水平にし,頭を前に突き出し,尻尾をヒョイヒョイと振るようにして鳴く。一方,ハシボソガラスは胸をふくらませてグッと顎を引き,うつむいた姿勢から一気に頭を振り上げて「ゴアーー」と搾り出すように鳴く。声が聞こえなくても,姿勢を見ればどちらかわかる。

地上に降りた時にピョンピョン飛び跳ねるか「よいしょ,よいしょ」と大儀そうに歩くのがハシブトガラスで,脚を伸ばしてスタスタ歩き,急ぐ時は早足になるのがハシボソガラス。

なお,この2種は生息場所の好みも違っている。ハシブトガラスは森林および都市部に分布しており,農耕地にはあまり見られない。その代わり,山奥にも高層ビル街にもいる。ハシボソガラスは農耕地や河川敷に多く,大都市には多くない。いたとしても,公園のような所だ。また林縁部や疎林にはいるが,森林の連続する山奥にはいない。つまり,ハシボソガラスは開けて見通しのいい場所に住んでいる。

今回も,地面を歩きまわっている様子を見ると,スタスタと軽快に歩いていました。

ゲゲゲの鬼太郎が乗るカラスヘリコプターは,「カアー,カアー」と鳴いているところをみると,ハシブトガラスのようですね。