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ミルンヤンマの羽化殻

2014年8月1日

水路の石垣に,羽化したばかりのトンボが止まっていました。[写真1]
羽化殻につかまっています。
翅はひろがっているものの,完全には乾ききっていないようです。

逃げないだろうと思い,大胆にカメラを近づけたら,急に飛び立ちました。
無理して飛んだのでしょう,すぐに水の上に落ちてしまいました。
水の流れが速く,あっという間に流されて姿が見えなくなってしまいました。

で,成虫の写真があまりなく,成虫の姿からはヤンマ科らしいくらいしかわかりません。
残された羽化殻で,名前を調べてみました。

迷ったあげく,結論から言うと,ミルンヤンマにたどり着きました。
色々な本の検索表を見比べましたが,今回,一番すっきりと結果にたどり着けたのは,「神戸のトンボ」というサイトの「ヤンマ科検索表」でした。

・まず,尾部の「肛上片先端が二叉になっている」かどうかを判定します。
[写真5]を見ると,肛上片先端は明らかに二叉になっています。

・次に進み,下唇の「中央欠刻の両側に1対の突起がある。流水性である」かどうかを見ます。
[写真6]を見ると,中央欠刻の横に片側だけですが,突起があります。
発見場所は流れの速い水路で,流水性です。

・次に進み,
頭部後頭角に明瞭な突起があり,側棘が第4-9腹節,または第5-9腹節にある.いずれの場合も第5腹節の側棘は大きく明瞭である.」ならばコシボソヤンマ属-コシボソヤンマ
頭部後頭角は顕著な突起はなく,側棘が第5-9腹節または第6-9腹節にある.第5腹節の側棘は,存在する場合でも小さいか不明瞭であることが多い.」ならばミルンヤンマ属
[写真7](矢印の箇所)にあるように,頭部後頭角に顕著な突起はありません。
[写真8]にあるように,側棘は第5-9腹節にあります。
第5腹節の側棘は,見逃してしまいそうなほどかすかなものです。
実は,『原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑 』(1999年)の検索表では,ミルンヤンマは「第5腹節~第9腹節」に側棘があることになっており,ここでつまずいて分からなくなってしまいました。
第5腹節の側棘は,一見しただけでは「ある」ようには見えません。
あるといわれれば「ある」,ないといわれれば「ない」という感じです。

・これで「ミルンヤンマ属」ということになりました。
「ミルンヤンマ属」のうち「ミルンヤンマ」以外は南西諸島にのみ分布しているので,本種は「ミルンヤンマ」ということになります。

上記のサイトにはミルンヤンマの見分けのチェックポイントとして,次のように書いてありました。

羽化殻全長37mm前後.後頭部の側縁はほぼまっすぐ後方に向う.下唇中片の前縁,中央欠刻の両側に1対の突起がある(1).側棘は第5-9腹節にあり,第5腹節のものは小さい.背棘はない.♀の原産卵管先端は第9腹節後縁を越える.♂の肛上片上の下付属器原器先端は尾毛先端より先の位置にくる.尾毛先端は肛上片先端の約1/2,肛側片先端の1/2より基部の位置にくる.肛上片は肛側片より短く,先端は背面から見て大きく二叉になる.肛側片の先端は内側に曲がる.羽化殻では見にくいが,第8(時に第9にも)腹節背面正中線上に淡色のスポットが現れる

・羽化殻全長37mm前後
この羽化殻の全長は42mmでした。[写真3]

・後頭部の側縁はほぼまっすぐ後方に向う
[写真7]

・下唇中片の前縁,中央欠刻の両側に1対の突起がある
[写真6]

・側棘は第5-9腹節にあり,第5腹節のものは小さい
[写真8]

・背棘はない
[写真8]

・♀の原産卵管先端は第9腹節後縁を越える
[写真8]

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