土塀にコカマキリがとまっていました。[写真1]
秋も深まり動きが鈍く,寿命が近いようです。
腹部の先端に白い塊がくっついています。

何かに寄生されているのでしょうか。
捕まえてみると,白い塊の中から,細い尻尾のようなものが突き出ていることに気づきました。[写真4]
位置的に見て,これは明らかに体内に繋がっています。
寄生生物の尻尾でしょうか。
ピンセットで引っぱってみようかとも思いましたが,引っぱり出した時に生きているのも気持ちが悪いので,まずは凍らせることにしました。

中途半端に凍らせると,露出している部分は死んでいるのに,体内に入っている部分は生きているということもあります。
以前に,凍らせたハラビロカマキリのお腹から,突き出ていたハリガネムシを引っぱりだしたところ,体内に入っていた部分は生きていて,うねうねと動いていたということがありました。(→2011年11月1日

冷凍庫から取り出して,まず白い塊を取ろうとするのですが,しっかりと体にくっついていて簡単には取れません。
すこし無理をして剥がすと,意外なことがわかりました。
寄生生物の尻尾だと思っていたものは,カマキリの体の一部だったのです。
そういえばカマキリには腹端に左右一対の尾角がありましたね。

寄生生物の尻尾でなかったとしても,腹の中には何かがいるかもしれません。
恐る恐るカミソリで腹を切り開いて見ると,中にはねばねばした黄色いものが詰まっています。[写真5]
内臓ではありません。
寄生していた無数の幼虫?
ピンセットで取り出してみると,これは卵です。[写真6]

産卵が何らかの理由で中断され,本来は草に産みつけられるべき卵嚢が,体に付着したまま固まってしまったようです。
この状態では,再び産卵することはできなかった思います。
[写真7]は,白い塊を切断したところ。

寄生されていたのはなく,産卵に失敗した雌という,少し物悲しい結末でした。