コウガイビルが塀を這っていました。[写真1]
コウガイビルといえば,近頃は体長1mにもなる外来種のオオミスジコウガイビルの方が有名ですが,これは在来種のクロイロコウガイビルです。
この個体の体長は約4cm。

コウガイビルは体の腹面中央に口があるそうで,一度どういう風になっているのか見たいと思っていました。
持って帰って調べてみることにしました。
ひとまずシャーレに入れて,翌日にじっくりと観察するつもりでした。
ところが翌朝見てみると,シャーレは空で姿が見当たりません。
夜の間に逃げだしたようです。

シャーレには蓋をしていました。
前日の夜に見たときには,コウガイビルは蓋との隙間を抜けだそうと何度も頭を入れることを試みていましたが,隙間が狭くてあきらめたようにみえていました。
蓋は縁にぴったりと接していて,シャーレとの間に隙間はほとんどありません。
どうやって抜けだしたのか不思議です。

コウガイビルはヒルという名前がついているものの,動物の血を吸う環形動物のヒルとは別の生き物です。
平凡社『世界大百科事典』(2007年)には,コウガイビルについて次のように書いてありました。

扁形動物門渦虫綱コウガイビル科 Bipalidae の動物の総称。陸上生活をするウズムシ類で,コウガイの名は,頭部の形が日本髪の笄(こうがい)の形に似ていることから生じている。

頭は扁平で横に半月形に伸び(いわゆる笄の形で),頸部は細い。多数の眼点が頭部や頸部の縁に沿って並んでいるが,肉眼ではわからない。ロは腹面の中央にある。おもに夜間に活動するが,比較的高温高湿の時期には昼間でも地上や石の下,温室内などをゆっくりはっているのをみかける。はった跡には粘液がつき,体に触れると数片に切れて(自切)扱いにくい。

[写真3][写真4]は,外来種のオオミスジコウガイビルです。(→2007年7月10日
写真を捜すために2007年7月フォルダの画像をスクロールさせていると,別のコウガイビルらしきものの写真を発見しました。[写真5][写真7]
体長約9cmで体に1本の黒い筋があります。
一見コウガイビルのなかまに見えるのですが,頭が半円形に広がっていません。
何なのでしょうか。
とりあえずアップしておきます。