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ゴイサギ

2015年6月3日

南禅寺で,観光の老夫婦がうれしそうに写真を撮っていました。
何かなと見ると,小さな水路のなかにゴイサギがいるのでした。
この場所でゴイサギを見るのは初めてです。

しかし,随分おおらかな性格のゴイサギですね。
逃げようとしません。
いつも見るゴイサギはとても警戒心が強く,人の気配がするとすぐに飛んで行ってしまうのですが。

ゴイサギに限らず,ときどき意外なほど警戒心の弱い鳥がいますよね。
うれしい反面,野生の生き物としてどうかなと思ってしまいます。

ゴイサギの名前は,一説によると,まさにこの「逃げなかった」ことが名前の由来となっています。
平家物語に曰く,

 今の世こそ王位もむげに軽けれ,昔は宣旨を向かひて読みければ,枯れたる草木も花咲き実なり,空飛ぶ鳥までもしたがひ来たる。
 中ごろのことぞかし。延喜の帝神泉苑へ御幸なって,池のみぎはに鷺のゐたりけるを,六位を召して,「あの鷺取って参れ」と仰せければ,「いかでかこれを取るべきや」とは思ひけれども,綸言なれば歩みむかふ。鷺は羽つくろひして立たんとす。「宣旨ぞ,まかり立つな」と言ひければ,鷺ひらみて飛びさらず。これをいだいて参りたり。帝叡覧あって,「なんぢが宣旨にしたがひて参りたるこそ神妙なれ」とて,やがて五位にぞなされける。「今日よりのち,鷺の中の王たるべし」と札をあそばして,頸にかけてぞ放させおはします。これまったく鷺の御用にはあらず。ただ王威のほどを知ろしめされんがためなり。
(水原一校注『新潮日本古典集成 平家物語中』(1980年)「第44句 頼朝謀反」)

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