南禅寺水路閣の石段にオオミズアオがとまっていました。[写真1]
この付近には,以前にもオオミズアオがとまっていました。(→2011年5月16日
まわりに,幼虫の食樹になるコナラ,モミジ,サクラなどがあるので,近くで発生しているのかもしれません。

保育社『原色日本蛾類図鑑』には,オオミズアオについて次のように書いてありました。

開帳80~120mm、♂の触角は羽毛状であるが,♀は両櫛歯状。後翅の尾状突起は♂の方が遥かに長い。翅の地色は青白色のものから黄色がかったものまであり,内・外横線も殆ど消失したものから明瞭なものまで変異がある。前翅外横線は普通波状をなし前縁近くで僅かに内方に曲がるが,時には波状をなさず殆ど直線に近いものもある。
成虫は4月下旬~5月及び7~8月の2回出現する。幼虫はリンゴ・ナシ・サクラ・アセピ・クル・コナラ・ハンノキ・カパノキ・モミジ等の葉を食し,1令幼虫は黒色であるが,2令になると褐赤色,3令以後は淡緑色となる。終令幼虫は体長80mm位,淡禄色で気門線黄白色,疣起をもち全体に粗毛をよそおう。繭は夏のものは枝葉間に,秋のものは地上の落葉間に作られる。蛹越冬。

[写真2]で計測すると,開帳は108mm。
触角は羽毛状なので♂です。[写真4]
(どういう訳か,私が見かけるオオミズアオは♂ばかりです。→2011年5月16日

「内・外横線も殆ど消失したものから明瞭なものまで変異がある」とあります。
内横線(ないおうせん),外横線(がいおうせん)は,翅を横切る線状の模様で同定の重要なてがかりになるものらしいですが,この個体の翅にはそれらしき線状の模様がありません。
「殆ど消失」している個体とみてよいのでしょうか。

「内・外横線」とはどんなものなのか。
以前に撮った写真に写っていないか捜してみました。
2009年に撮った写真(→2009年6月25日)に,翅に線がはいっているものがありました。[写真6]
翅に2本の茶色い線があるのがわかります。
外側の外横線(がいおうせん)は,確かに「波状」になっていますね。

外横線の位置が分かったところで,もう一度[写真3]をよーく見てみると,後翅裏面にかすかに外横線があるのがわかります。
この個体は,「内・外横線も殆ど消失したもの」のようです。