カタツムリを入れるために,物置から飼育ケースを取り出してみると,底にクワガタが死んでいました。[写真3]
入れた覚えはありません。
いつの間にかケースの中に入りこんで,出られなくなったようです。

コクワガタだろうと思い込んでいましたが,よく調べてみると,ヒラタクワガタでした。

学研教育出版『日本産コガネムシ上科標準図鑑』(2012年)には,ヒラタクワガタとコクワガタの大あごについて次のように書いてありました。

ヒラタクワガタ
大あごは,平たくまっすぐで,わずかに下方に曲がり,先端のみが強く内側に湾曲する。大あごの基部1/3付近に大きな1本の内歯をそなえ,その前方に数本の鋸歯,先端に1本の小歯をそなえる。

コクワガタ
大あごは平たく,細長く前方に伸長し,先端付近で内側に湾曲する。中央よりやや前方に大きな1本の内歯,先端付近に小歯がある。内歯は,体サイズに比例して小さくなり,極小個体では消失する。

ヒラタクワガタとコクワガタの大あごを比較したのが[写真5]です。
内歯の位置と,鋸歯の有無が相違点でしょうか。
コクワガタについて→2012年8月12日

北隆館『新訂原色昆虫大図鑑Ⅱ甲虫編』(2007年)には,ヒラタクワガタについて次のように書いてありました。

体長♂, 39~61mm。 ♀,25~34mm。黒色,眼縁突起は眼の4/5位を縁どり,僅かに後方で切れている。触角の先端から4節目は横にやや突出し,その先に褐色の長い毛の束をもっている。 ♂:頭盾は横長で,その前縁は彎入し,その中央は更に刻入する。前胸背の側線は2彎状で,中央またはそのやや前方はにぶく歯状に突出する。大形の♂では頭部と前胸背は光沢がにぷいが,小形の♂では♀と同じように全体に光沢がある。 ♀ :頭盾は台形で,その前縁はかすかに彎入している。頭部中央にやや不明瞭な2小瘤があり,その間隔は頭盾の幅よりもやや広い。前胸背の側線は後方で斜に切られるが,後角および側線角はまるまり,前方もゆるく曲がる。上翅の点刻は会合部付近では微細でまばらに列状にならぶが,両側のもの程強く大きく密になる。

・体長♂, 39~61mm
この個体の(大あごを含まない)体長は,36mm。……[写真2]
大あごは11mm。
クワガタの体長は,図鑑によって大あごを含んだり含まなかったりします。
上記の図鑑は,大あごを含んだもののようです。

・眼縁突起は眼の4/5位を縁どり,僅かに後方で切れている
……[写真7]

・触角の先端から4節目は横にやや突出し,その先に褐色の長い毛の束をもっている
……[写真8]

・頭盾は横長で,その前縁は彎入し,その中央は更に刻入する
……[写真4]

・前胸背の側線は2彎状で,中央またはそのやや前方はにぶく歯状に突出する
……[写真6]

・大形の♂では頭部と前胸背は光沢がにぷいが,小形の♂では♀と同じように全体に光沢がある
この個体は,密に点刻があり,つや消し状です。

以前の記録を見ると,2005年に大きなヒラタクワガタを捕まえています。→2005年6月7日