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オオサカサナエの羽化殻

2015年7月10日

疎水の護岸に付いていたトンボの抜け殻。[写真1][写真2]
殻は薄く,力を加えるとすぐに崩れてしまいそうです。
そっと石垣からはがしました。

大きさは中くらい。
体つきは,頭が小さく,ほっそりした感じです。
ミナミヤンマ・クラブ『近畿のトンボ図鑑 』(2009年)で探してみました。
この本には,近畿にいるヤゴの写真一覧が実物大で載っています。
写真の上に抜け殻を置いて,見比べることができるので便利です。(検索表をたどるよりは,結局こうした方が早く見つかります。)

オオサカサナエのようです。
オオサカサナエによく似ている,メガネサナエ,ナゴヤサナエとは,腹部第9節の長さと形の違いで見分けます。
載っていた比較写真を見ると,やはりこれはオオサカサナエのようです。

オオサカサナエなら,2年前に成虫の死骸を拾っています。(→2013/8/25
この辺りに生息しているのは間違いありません。
同じような抜け殻を,昨年にも同じ場所で採取しています。
残していた抜け殻を確認して見ると,同じ種類でした。

北海道大学図書刊行会『原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑 』(1999年)には,オサカサナエが属するメガネサナエ属の幼虫形態について次のように書いてありました。

上から軽く押しつぶしたような,やや平たい細身の紡錘形をした中型ないしやや大型ヤゴ。腹部の第9節が長いのが特徴的。

……[写真5]

表皮はサナエトンボ科としては薄い。
表面にごく短い微細毛が密生し,触角および腹部側線と肢の各腿節,脛節に長毛列がある。

……[写真7]

頭部は比較的小さく,前額がよくはりだして角のまるい三角形か変形の逆ハート形で,背面が平たい。

……[写真7]

複眼は大きいがほとんど側方へはりださず,後頭片が小さくてまるい。

……[写真7]

触角は細く,第3節が棒状をしている。

……[写真7]

下唇基節は体のわりに小さく,細長い長方形。中片の前縁がほとんど突出せず,内側へ釣針形に曲がった剛毛帯で縁どられる。腮刺毛はない。側片は幅広く,外縁が可動鈎の基部から内側へ折れ,内縁がまるく弧を描いて鋭い手鉤形を呈する。側刺毛はない。可動鈎は細長い牙状。

……[写真8]~[写真11]([写真11]は2年前の標本)

胸部は体格のわりには小さめ。前胸は横長のいびつな長方形でいくぶん縦幅が広い。前胸背板の前縁三がⅤ字形に,また側線が縦に広く隆起する。翅胸は科の特徴通りだが後胸のはりだしが比較的弱い。

……[写真2]

翅芽は短く,左右がほぼ平行してまっすぐ後ろへのびる。

……羽化殻では,翅芽は八の字に開いています。[写真6]

肢は太短く,各腿節がはっきり内側に曲がる。脛節もやや内側へ曲がっているが,腿節ほどはっきりしていない。

……[写真7][写真8]

腹部は細長い紡錘形で第10節がきわめて細く,円筒状を呈する。第6~9節に小さい側棘があり,第9節にまっすぐ後ろへ突出する小さな背棘がある。

……[写真5][写真14]

肛錐はきわめて小さい正三角錐形。肛上片はほぼ正三角形で,基部の両角が尾毛の下に隠れ,先端が尖る。肛側片は肛上片とほぼ同長か,わずかに長い。尾毛は肛上片よりわずかに短い程度。

……[写真13]の左側が背面,右側が腹面。肛上片が真ん中にあるのはわかるのですが,どちらが肛側片なのか尾毛なのかよくわかりませんでした。

♂の肛上片の瘤は側方へよくはりだす。♀には小さい原産卵弁が認められる。

……[写真12]を見ると,原産卵弁が認められるので,この個体は♀であることが分かります。

オオサカサナエの幼虫形態については,次のように書いてありました。

体長31~34mm,頭幅5~6mm,後翅芽長7~8mm,後腿節長5~6mm。
 日本に産するメガネサナエ属3種中で最も小さい。淡褐色かやや緑色みをおびた淡黄褐色のナゴヤサナエに酷似した細身の中型ヤゴ。腹部第9節が短く,体形がより太短く寸づまりの感があることでも識別できる。
 表皮は属の特徴通り。頭部は後頭片の後側角のもりあがりがナゴヤサナエよりはっきりしている。複眼はメガネサナエに酷似し,後縁が左右ほぼ一直線に並ぶ。触角は同属他種と有意差がない。下唇基節は細長い長方形。長さが幅の1.2倍ほどで同属3種のうちで最も短い。側片はメガネサナエより太短く,ナゴヤサナ工に酷似するが内縁の臼歯状の微細突起がナゴヤサナエより少なくはっきりしない。腮刺毛・側刺毛はともにない。可動鈎は同属3種のなかで最も太短い。翅芽は先端が腹部第3節の後縁に達するにすぎない。肢の特徴は属で記した通り。腹部は細長い紡錘形。各節中央に太い三角あるいはM字形の褐色斑があり,生時は緑色みのかなり強いものもある。第3~8節にみられる褐色顆粒斑は,それぞれ4個ほどで同属3種のなかで最も少ない。第9節正中線に弱い稜がみられ,長さが基端幅よりやや短く,同属中で最も短い。第10節は円筒形で小さく,長さが幅よりやや短い。肛錐は属の特徴通り。 ♂の肛上片上の瘤は未解明。♀には小さい原産卵弁が認められる。

ナゴヤサナエ,メガネサナエとの相違点に重点を置いた記述になっています。

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