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松ぼっくり

2015年11月8日

青く固かった松ぼっくりが,褐色に色づき,傘を開きはじめました。[写真1]
傘の間で成熟をとげた種子が,地上に向かってこぼれ落ちています。
種子には翼があり,プロペラのようにくるくると回りながら風に飛ばされて,少し遠くへ運ばれます。

まだ開いていない松ぼっくりも,鱗片を剥がしてみると成熟した種子が入っています。[写真5][写真6]
これから次々に色づいて,傘を開くものと思います。

今,傘を開きはじめた松ぼっくりは,2年前の春に咲いた雌花です。
昨年の春に咲いていた雌花[写真12]の松ぼっくりは,現在はまだまだ小さく,成熟には程遠い状態です[写真14]。
アカマツやクロマツは,春に雌花が受粉してもすぐに花粉管は伸びず,受精するのは翌年の春になります。
さらに受精してから1年半かけて種子は成熟します。
花を咲かせて種ができるまでに,2年半かかるということです。

どうしてこんなに時間をかけるのでしょうね。
多くの植物は,春に花を咲かせれば,その秋には実をつけるというのに。
長い進化の過程で身に付けた,生き残り戦略なのは確かなのですが。

種子には翼がついています。[写真7][写真8]
翼で風を受けることにより,より遠くへ種子を飛ばすことができます。
いわゆる風散布といわれるものです。

風散布をする種類は軽量化のために,種子が小さくなります。
アカマツやクロマツの実は米粒ほどの大きさですが,いわゆる「松の実」として市販されている食用のマツの実は,15mmほどの大きさがあります。
「松の実」はチョウセンゴヨウの実で,動物散布をする種類です。
実が大きいだけでなく,風を受けるための翼もありません。

松ぼっくりの鱗片一つ一つには,2個ずつセットになって種子が入っています。[写真2]
これは,もともと雌花の鱗片の裏側に,2個の胚珠があるためです。
胚珠は,鱗片と鱗片の間に守られるようにして大きくなり,2個の種子になります。

[写真9]は種子を縦に切った断面。
種皮は,外果皮と内果皮の2層になっています。
[写真10]は固い外果皮を取った状態。
まだ薄い内果皮に包まれています。

[写真11]は内果皮をとった状態。
食用の「松の実」はこの状態になっています。

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