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サネカズラの実

2015年11月28日

アラカシの茂みに,赤く色づいたサネカズラの実が生っていました。[写真1]
常緑樹の濃い緑色の葉のなかで,鮮やかな赤い色が目を引きます。

サネカズラの枝葉はアラカシとよく似ていて,どの部分がサネカズラでどの部分がアラカシなのか見分けがつきません。
赤い実もアラカシがつけたもののように見えます。
あまりにもアラカシに溶け込んだ様子は,昆虫の擬態に似たものを感じてしまいました。

平凡社『世界大百科事典』(2007年)には,サネカズラについて次のように書いてありました。

 地面をほふくしたり灌木におおいかぶさったりするマツブサ科の常緑のつる性木本。つるのからまる様から,〈さねかずら〉は“逢う”や“来る”の枕詞である。学名のKadsuraは日本語の葛(かずら)よりついた。古くは茎を煮て得た粘液を整髪に用いたので美男葛の別名がある。
 夏に黄白色の小さな花を葉腋(ようえき)から出す。多くは単性花,時に両性花をつける。秋に多数の赤い果実が果托について丸い集合果を形成する。

 樹皮にキシログルクロ二ドを含む粘質物があり,水で抽出して整髪に用いたり製紙用糊に使ったりした。樹皮からは繊維をとる。

・マツブサ科
科の名前になっている「マツブサ」は見たことがありません。
ぶどうの様な房状の実がなる,蔓性木本らしいです。
見たことがないのはもっともで,京都府レッドデータブックでは準絶滅危惧種になっていました。
選定理由として「自生地,個体数ともに少ない」とあります。

・〈さねかずら〉は“逢う”や“来る”の枕詞である
2013年1月6日

・学名のKadsuraは日本語の葛(かずら)よりついた
2013年1月6日

・古くは茎を煮て得た粘液を整髪に用いたので美男葛の別名がある
2013年1月6日

・夏に黄白色の小さな花を葉腋(ようえき)から出す。多くは単性花,時に両性花をつける。
[写真8]は雌花です。(→2005年9月1日
たくさんの子房が球形に寄り集まった形は,果実の原形を示していますね。

・秋に多数の赤い果実が果托について丸い集合果を形成する
[写真3]は実の断面です。
大きくふくらんだ花托のまわりに,球形の果実がくっついています。
花托(かたく)とは花床(かしょう)ともいい,雌しべや雄しべを支えている部分です。

花托が大きく膨らんだ実は意外に多くて,ナシやリンゴ,イチゴなど果物にも多くあります。
例えば,イチゴの食用にしている果肉部分は花托が肥大化したもので,本当の果実は赤い実のまわりについている,黒い粒々一個一個です。
サネカズラの実も同じような構造をしていて,肥大した花托のまわりについている,赤い果実一個が,イチゴ表面の黒い粒一個にあたります。

上書では「花托」ではなく,「果托」の文字が使われています。
花ではなく,果実を支える部分ということで,「果托」が使われたのでしょうか。
花の「花托」が膨らんで,果実の「果托」になった?

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